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腸内細菌が健康やあらゆる病気につながっている?研究が進む「うんこ」の可能性
2019年12月16日
先日取材を受けた腸内フローラ移植に関する記事です。
(Yahoo!ニュース:腸内細菌が健康やあらゆる病気につながっている?研究が進む「うんこ」の可能性)腸内細菌が健康やあらゆる病気につながっている?研究が進む「うんこ」の可能性
(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
https://times.abema.tv/累計400万部を突破した『うんこかん字ドリル』、人気を博したお台場の「うんこミュージアム」など、"うんこブーム"が継続中だ。実はうんこそのものの研究も進んでおり、細かく観察することで、様々な病気の徴候を見出すこともできるのだという。
長年にわたって腸内細菌について研究している理化学研究所特別招聘研究員の辨野義己氏は「大腸というのは人の臓器の中で最も病気の種類が多い。その一方で、大腸は他の臓器に比べて、環境をコントロールすることができる。大便というのは80%が水、残り20%が固形成分だが、その3分の1は食べカスで、生きた腸内細菌と剥がれた腸の粘膜でできている。この腸内細菌が他の臓器や乳がんや肝臓がん、肥満や糖尿病などの病気とも関係していることが分かってきた。また、脳の機能、自閉症や認知症とも関係があるという論文も出てきている。つまり、良い腸内環境を持ち、腸を制することが健康を制すると言ってもいい」と話す。
「2017年に全国約2万5000人のデータを集めた結果、日本人の腸内細菌のパターンは9パターンに分かれ、特に壮年期の男性と女性では腸内細菌が異なっていることもわかった。今後は生活習慣や体重、食生活などを聞いたアンケート調査とデータベースをもとに健康管理に使いたいと思っている」。
最新の医療現場では、他人の便とともに腸内細菌を移植することで腸内環境を良くしようとする取り組み「便移植(腸内フローラ移植)」も試みられている。
ルークス芦屋クリニック院長の城谷昌彦医師も、持病がきっかけで便移植に取り組むようになったという。「専門医でありながら潰瘍性大腸炎という難病に罹り、症状がなかなか良くならなかった。治療方法を模索している時に、特殊な菌液を使う方法に出会った。実際に受けてみて、便の回数が多く、下痢も多かったのが、翌日から改善された。これはもう少し研究してみる価値があると感じた。患者さんがもともと持っていた菌に新たな菌を加えることで、元々の菌がより良い働きをすると私たちは考えている」。
城谷医師のクリニックでは内視鏡ではなくチューブを使った便移植を実施しており、半年かけてアトピーの症状に改善が見られたケースもあると話す。「最初はチューブが入っている感覚があるが、液が入っている時の感覚はほとんどない。患者さんも傷みや違和感もほとんどないと話している」。
移植する便の提供者は「ドナーバンク」に登録しているという。「日本で初めて便バンクというものを設立した。厳しいスクリーニング検査をクリアしたボランティアの方のみに登録してもらい、さらに2カ月に1度は検査を受けてもらうので、非常にクオリティの高い検査を通った方だけが登録されている」。また、拒絶反応などのリスクについて城谷医師は「特に若く免疫が強い方では拒絶反応が起こる可能性があるので、菌液も薄いものから少しずつ濃度勾配をつけて身体に慣らし、3~6回に分けて複数回移植を行っていく。そうすることで拒絶反応を抑えることが可能だ。今まで研究会で300例ほどあるが、終わった後に下痢をしたという例があるくらいで、重篤な副作用は今のところない」。
ただ、あくまで研究段階の治療法であり、保険適用のない自由診療だ。「3回の場合は約120万円、6回の場合は約200万円かかってしまう。このコストをいかに下げるかも研究会のテーマになっている」。
辨野氏は城谷医師の話を受け、「腸内細菌を50年間研究してきたが、"健康な人の腸内細菌は何か"という答えは出ていない。腸内細菌はほとんどが嫌気性細菌で、酸素にすごく弱い。おそらく大部分の菌は死んでいるだろう。したがって、研究会は菌なのか大便成分なのかを示すべきだし、そもそも大便はレベル2という病原性の高い物質なので、危険物質として認識した上で普及させるべきだ」と指摘。
城谷医師も「確かに症例など、まだまだ科学的に証明していかないといけない段階だ。ただ菌液に関しては、ウルトラファインバブルという特殊な溶液を使い、菌を殺さず、逆に増殖もさせず、ドナーの状態のまま入れられるものとなっているのではないかと思っている。こちらもエビデンスを出していきたい」と回答した。
では、辨野氏が考える、理想の状態のうんことはどのようなものなのだろうか。「まず、バナナ状で2、3本、約250gから300gのものがストーンと気持ちよく出ること。それは水が80%ということだ。それと同時に、腐敗が進行しておらず、あまり臭くないこと。そして黄色あるいは黄褐色であること。また、繊維が多く、軽い方がいい。良いうんちは浮いてくる。そのような観点で、どんな色にするのか、どんな臭いにするか、どんな形にするのか、うんちをデザインすることが大事だ」。
その上で、多くの人が悩む便秘や下痢については「日本人女性の48%は便秘だ。ダイエットを含めたライフスタイル、好きなものしか食べていない、運動不足、ストレスというこの4つが大きな要因。逆に男性の場合は下痢になる場合が多い。やはり本人が運動や食べ物、ライフスタイルでどう自覚するかだろう。そして、食べ物によって"うんちを作る力"、腸内のビフィズス菌や酪酸産生菌などの善玉菌を増やす"うんちを育てる力"、インナーマッスル、腸腰筋による"出す力"、この3つの力を付けることだ」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より) Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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