- ルークス芦屋クリニック
内科・消化器内科・心療内科 - 初診の方へ
- 予約優先制 0797-23-6033
(受付時間 9:30~18:00)
クリニック | 特徴 | 診療案内 | 治療・検査 | ブログ |
-
化学物質過敏症と土いじり
2019年12月 8日
先日土いじりの効能について書きましたが、
まさにそれを実践している友人と
食事をする機会がありました。
その友人は私の高校時代の友人ですが、
今年の夏に久しぶりに会った時に
「化学物質過敏症(CS)」
に悩んでいることを聞かされました。
数年前から原因不明の体調不良に悩み、
自身でいろいろ調べて最終的に行き着いたのが
CSという診断だったというのです。
これまでに様々な試みをして、
現在は随分調子は良く過ごせているとのことでした。
うちのクリニックにもこれまでに何人か
CSと診断された方がいらっしゃいましたが、
まだCSの根本原因が十分には解明されていないものの、
腸内環境の乱れとの関連が示唆されています。
今回その友人に食事に誘われ、
いろいろな貴重な話を聞くことができました。
彼は症状を緩和させるために
街の中心から少し離れた自然豊かな土地に
建材の一つ一つからこだわり抜いた家を建て、
家具やカーテンなども過敏反応を起こさないものを
一から探し暮らし始めました。
そして、自分の口にするものにも制約が多かったため、
家の次は車で1時間ほどのさらに郊外の農地に
自分たち家族のための野菜を栽培し始めました。
週末は必ずこの畑を訪れ、
ここでもこだわりの野菜を栽培しています。
まずは土作りから始めた彼はこう言います。「土いじりを始めてからますます調子は良くなった。」
「CSを克服するためには腸内環境を、整えることがとても重要だと感じた。そして腸内環境を整えるには、自分たちが口にする食事がやはり重要。そうなると食材が育つ土がもっと重要。」「化学肥料を使った野菜に比べ、自然療法で育つ野菜は発育スピードは遅いけど、虫がつきにくく、枯れにくい。そして何よりいい土はエネルギーが高く、この土を触って作業をするだけで、エネルギーがもらえる」
友人は続けます。
「結局は腸内細菌の多様性が少なくなる原因に、間接的に土壌菌の多様性が少なくなったことが考えられる。腸のことを考えるからには、土のことを語らずにはいられない。」
そう熱く語る友人に私が質問しました
「都会に住んでいるCSの人が、まず取り組めることはなんだと思う?」
友人は即答します。
「まず土を触ること。」
「できれば化学肥料を使っていない土がいいけど、こだわりすぎなくてもいい。
プランターでもいいので、ホームセンターで買ってきた土に、少しだけでいいから六甲山などの山で、お菓子箱などに入れて土を持ち帰り混ぜるだけでも大丈夫」どうやら、量的には少なめでも
土壌菌の多様性の高い土を混ぜると
もともと多様性の低かった土の中の
細菌たちの働きが良くなる
ということなのかもしれません。
この構図は腸内フローラ移植にも似ていて、
ドナーからもらう多様性の高い糞便の量は
レシピエントの便の量に比べると
さほど多くはありません。
にも関わらず腸内フローラ移植が効果があるのは、
新たに移植された菌が働くというよりも
少量でも新しい菌が移植されると、元来そこに生着していた菌に、なんらかの刺激を与えられることとなり、もともとの細菌がよりいい働きをするというイメージが想定されています。
今後うちのクリニックでも
腸内環境改善プログラムの一環として
「土いじり」を指導に取り入れていきます。
もちろん畑で農作業ができれば
それに越したことはありませんが、
都会の小さなスペースでも
ちょっとした工夫で
多様性豊かな土壌とのふれあいができます。
それは結果としてあなたと共生する
細菌の多様性を増やし、
あなたの健康に寄与することになるのです。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
カテゴリ