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腸脳相関から「腸内細菌・腸・脳相関」へ
2018年10月23日
先日の腸内フローラ移植臨床研究会の総会では、
「うつにおける特殊菌液を用いた腸内フローラ移植(UB-FMT)の経験」
と題して、うつの症状に改善が見られた2症例を発表させていただきました。腸とうつがどう関係あるの?と思われるかもしれませんが、人は感情と腸の関連を古くから感じ取っていました。
- 腹の虫が収まらない
- 腹の虫の居所が悪い
- 腹黒い
- 断腸の思い
- 腹がたつ
- 腸が煮えくり返る
といった具合に腹(腸)と感情(特に怒りなどの感情)が密接に連動していることは知られていました。
腸が第二の脳と言われるようになりましたが、腸の方がその発生の歴史は長く、ミミズなどの原始的な生物では、脳はなくほとんど腸だけで生きています。
そんなミミズも恐怖心や食欲を感じることがあることを考えると、私たちの無意識(潜在意識)は、その発生の大元を辿ると腸に行きつき、無意識は腸に宿っているといって過言ではありません。
人間は大脳皮質を発達させたがゆえ、「エゴ:自我」が司る「意識」を明確に持つようになり思考するようになりましたが、無意識の進もうとする方向と、意識の進もうとする方向が大きく異なる時、体(セルフ:自己)は何らかのサインを送り、これらのギャップを埋めるための行動を宿主(あなた)に促します。
原則「セルフ(自己)」は全体性で進む歩行を決定づけるのに対して、エゴ(自我)は色々な思い込みやしがらみに左右されることも多く、時としてセルフとのギャップが非常に大きく、これは人間のある意味宿命なのかもしれません。
しかしあまりにも思考が強すぎると、無意識からのサインを受け取ることができなくなり、より強い症状による警告音(症状、病気)によるシャットダウン(強制終了)させられてしまうこともあります。
こんな経験ありませんか?
仕事などで無理が続くと、高熱が出て立てなくなり強制的に寝込まされるというようなことは今までにありませんでしたか?
腸からの感覚を無視するとろくなことありません。全人的な視点からはおおよその場合、脳が行う思考より腹からの感覚の方が正解です。
近年、この腹を司るのは決して原始的な腸の神経システムだけでなく、腸の中に多く住み着いている腸内細菌であることが明らかになってきました。
ストレスは腸内フローラのバランスを変えてしまいますし、逆に腸内細菌の種類やバランスにより私たちの感情や体調が大きく左右されることがわかってきました。
ですから「腸脳相関」は正しくは「腸内細菌・腸・脳相関」なのです。
腸内の細菌が私たちの健康に大きく関与しています。無意識を作り出すのももしかしたら腸内フローラかもしれません。腸内細菌の種類がかわり、腸での働きが変わると、脳に影響を及ぼすことはご理解いただけるでしょう。
私たちが腸内フローラの際に利用する「特殊菌液」には生理食塩水とは大きく違う工夫がされています。いずれこの特殊性についても論じることのできる日がくると思いますのでお楽しみにしていてください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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