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腸内フローラとアレルギー
2018年5月 1日
皆さん、アーミッシュのことはご存知ですか?
200年以上前に北米大陸に移り住んだドイツ系の移民で、現代でも自給自足の生活をし家畜を飼っています。
このアーミッシュの人達にはアレルギー疾患が少ないことが以前から知られていましたが、幼少時から家畜と接触することが関係しているのではないかと推測され調査がなされました。
すると、アーミッシュの人たちの血液中には、アレルギーの抑制に関連している制御性T細胞(Treg)が通常より35%も多かったことが判明したのです。
このTregという細胞は1995年に現大阪大学教授の坂口志文博士により発見された細胞で、自分自身の組織に対する免疫応答(自己免疫疾患)や過剰に活性化した免疫応答(アレルギー反応)を抑える細胞です。
最近の研究ではこのTregの誘導には、腸内フローラが大きく関係しており、中でもクロストリジウム属のクラスターⅣとⅩⅣaの株が作用していることがわかって来ました。
これらの菌が多い腸内フローラバランスの腸内環境の元、菌の産生する「酪酸」と呼ばれる短鎖脂肪酸がTregの分化誘導を促進すると考えられていますが、これらの菌を増やすのが食物繊維を多く含む食事です。
アーミッシュは典型的な米国人が摂る食物繊維に比べ多くの食物繊維を摂取し、また幼少時から家畜と触れ合うことで、多様性の多い細菌と触れ合う機会も多く、これらの条件が免疫の強化につながっているものと考えられます。
この例のように、腸内フローラと全身の疾患が密接に関連しているということが、近年の解析技術の向上により急速に明らかになって来ましたが、アレルギー以外では、肥満、糖尿病、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、動脈硬化、がん、うつ、自閉症など様々な全身性の疾患との関連が示唆されています。
JR芦屋駅から徒歩4分のルークス芦屋クリニック(内科・消化器内科・心療内科)で行う腸内フローラ移植の際にも腸内フローラを調べますが、先述のクロストリジウム属クラスターⅣやⅩⅣaがどのくらいの割合で存在するかは、ドナーを選ぶ際にも非常に重要な情報となります。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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