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高脂肪食のダラダラ食べと腸内フローラ
2018年5月 6日
今年のGWは家族とイタリアへ旅をしました。日々の忙しさから離れ、その悠久の歴史に触れることができ、とても充実したGWとなりました。
もちろん旅行中は和食を口にすることはほぼなく、典型的な西洋型の脂質が多めの食事をすることになりますが、元々和食派の私は3日もすると決まって味噌汁が恋しくなります。。。
このような場合、腸内フローラにはどのような変化があるのでしょう?
これまでの研究によると、幼少時に獲得した腸内フローラの基本的な構成は、細菌の分類上の「門」レベルではその種類に変化はないものの、環境因子によりバランスには変化をきたすことがわかっています。
マウスの研究では、高脂肪食を与え続けた群とそうでない群で比較すると、前者では平均で3.5日でいわゆる肥満菌と呼ばれる「ファーミキューテス門」が増え、痩せ菌である「バクテロイデス門」が激減することが分かりました。
中でも通常マウスの活動する夜間にだけ高脂肪食を与えた群と、昼夜問わず高脂肪食を与えた群では、後者のダラダラと高脂肪食を食べ続ける群のほうが腸内細菌の種類が減少し、「多様性」が減少します。
つまり旅も3日目くらいになってくると、おそらく腸内フローラにも変化をきたし、体調にも変化を感じる頃となりますが、これは私が味噌汁を恋しくなったことと関連しているものと思われます。
現段階ではなぜ高脂肪食が腸内フローラのバランスに変化をきたすのか、そのメカニズムは解明されていませんが、個人的な考えではその脂肪の種類にもその原因の一つがあるのではと思っています。
この研究では脂質の種類の関しての考察はありませんが、特に炎症を助長するとされるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のアンバランス(6>>>3)の状態では腸粘膜にも少なからず悪影響を与えるのではないかと推測されます。
かつて、生活習慣病の原因は脂質の摂り過ぎとされていましたが、これは脂質の種類も大いに関係しています。細胞膜を構成したり、多くの生理活性物質が脂質から構成されていることを考えると脂質を極端に制限してしまう食事にはリスクが伴います。
最近ではむしろ精製された糖質の過剰摂取の方がリスクが高いともされており、糖質と腸内フローラの関係の研究も待たれるところです。
何れにしても、アンバランスな脂肪の過剰摂取だけでなく、その摂取の仕方にも腸内フローラは影響を受けているようです。
今回の旅では今までの経験を生かして、インスタントではありますが味噌汁を持参していったので、ちょうど3日目に懐かしい味を堪能し楽しく旅を続けることができました。
やはり日本人の腸内フローラには伝統的な和食がどうも良さそうですね。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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