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腸内フローラ移植(糞便微生物叢移植:FMT)の歴史

2024年7月13日

FMTという発想は決して近代医学が生み出したものではありません。
西暦4世紀の古代中国では、葛洪(かっこう、図参照)と言う医学者が重症下痢患者に人の糞便を水で研いだ汁(黄汁:Yellow Soup)を飲ませて治療したと言う記録が残っています。

また昔の韓国宮廷では、米と酵母と人糞水を混ぜ合わせて作ったトンスル(糞酒)が、健康維持のために飲まれていたと言うことは最近の韓国宮廷ドラマでも話題になりました。

さらに中世のイタリアでは解剖学者であり外科医でもあったジローラモ・ファブリッチ・ダクペンデンテ(西暦1537〜1619)が下痢の馬に糞便を注腸したと言う記録があります。

このように昔から治療の一つの方法として、他人(他の動物)の糞便を利用すると言う発想はありました。
学術的には、1958年米国のベン・アイズマン博士がクロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)に対する治療としてFMTを行った際に驚くべき治療効果を認めたことを報告しました。この結果は見張るものではありましたが、当時の医学会では抗生剤がもてはやされた時代で、CDIに対しては抗生剤を使うのが常識とされていたため、彼の論文はあまり注目を集めることはありませんでした。

その後、多くの抗生剤がさまざまな治療に用いられるようになり「耐性菌」の出現が社会問題となるようになってきました。それまでCDIに対して主に用いられてきた抗生剤に対しても耐性菌が増えたことで難治性となるケースも急増していた2013年、オランダのエルス・ファン・ヌード博士たちのグループがCDIに対してFMTが大変有効であるという論文を、世界で最も権威のある医学雑誌の一つであるThe New England Journal of Medicineに発表し、これが大きな注目を浴びます。

この翌年の2014年には米国のFDA(日本でいう厚生労働省)がFMTを条件付きながらCDIに対する治療として認可をしました。以後、日本をはじめとする世界中でFMTに関する研究が盛んに行われるようになりました。


(図はネットより拝借)

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