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2009年は私にとって非常に大きな意味のある年だった。
2023年2月 2日
2009年は私にとって非常に大きな意味のある年だった。
研修医の頃よりしばしば悩まされていた大腸の持病が急性増悪を起こし、内科的治療を施すも奏功せず、結果として外科的に大腸を全摘せざるを得なかったのが2007年秋。それまで自身の病の原因について何となく気づいてはいたものの、無意識的な防衛も働いてか、なかなか核心にまでは到達できていなかった。しかしこの大きな経験を通りしていよいよ対峙せざるをえなくなり、手術を待つ入院中の病室で見た夢の中でも繰り返しメッセージが降りてきた。
今思えば、それらの夢の内容は、今から切除されようとしている私の「腸」の声でもあった。そしてそれはおそらく私の「肚」の声であり、無意識からのメッセージであったのだと思う。夢の詳しい内容はここでは書かないが、私なりの解釈では
「自身の病気のメッセージを受け取り、これまで生きてこなかった自分の部分にもスポットを当ててもっと自分らしい生き方をしなさい」
ということだったかと思う。そして外科的な治療という西洋医学の大きな力で救われた私の命は、これからはその西洋医学的な治療に加えて、もっと病気の本質、あるいは命の本質に近づき、本当の意味での癒しを目指した治療をしようと決意するに至った。
この決意を力強く支えてくれたのが、カール・サイモントン博士だった。
放射線腫瘍医であり、社会心理学腫瘍医でもあったサイモントン博士は、その人の持つイメージにより、病気の経過に影響を与えると唱え、がん患者とサポートのための心理療法を確立した。
当時医師の立場でありながら、治療における心理的介入の重要性を唱えていた彼は、医学会では「異端」とされ、一時は学会から追放処分を受けたりもした。(のちには彼の業績が高く評価され、再度学会から歓迎されながら復帰することになる)
しかし、彼は信念を貫いて大きな仕事を成し、2009年にこの世を去るまでの間、多くの患者の心の支えになり、病気の本質を語り、そして治癒に導いた。
2006年に彼に会った時から、一貫して「感情の安定」や「病の意味を考える」ことの重要性を説いていた彼の言葉は、その後の私の決断にも大きな影響を与えていた。2009年、まさかこれが彼の最後のアメリカでの仕事にはなろうとも思っていなかった春の6日間プログラムに、私はインターンとして参加することとなる。カリフォルニア・サンタバーバラの陽気な空気に包まれ、会場となったリトリート施設 Casa de Mariaには米国内外から多くの患者とその家族が集まった。
6日間のグループセッションにおいて、サイモントン博士の穏やかな声にリードされた患者や家族たちは、彼の揺るぎない信念に勇気を見出し、ユーモアあるジョークに癒されていった。参加者たちは、初日に見せた緊張した表情からは一転して、最終日にはどの人が患者なのか見分けがつかないくらいの笑顔を見せ、会場には笑い声が響き渡った。そこには「Cancer Diagnosed(がんと診断された者)」はいたが、「Cancer Patient(がんを患う者)」はいなかった。
彼と過ごした密度の濃い経験は、ほんの数日間のことではあったが、今でも私の深い部分に影響を与え、息づいている。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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