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IBS/SIBOの治療には迷走神経が鍵
2022年12月 5日
迷走神経は大きく二つのに分けられ、主に横隔膜から上に分布するのが「腹側迷走神経複合体」、横隔膜から下の臓器に分布するのが「背側迷走神経複合体」と呼ばれています。
これらの働きが低下すると、- 消化機能の問題
- 心拍数、血圧の問題
- 免疫反応の問題
- 気分
- 唾液や粘液の産生量の問題
- 皮膚や筋肉の感覚異常
- 発声の問題
- 味覚の問題
- 排尿の問題
などの症状が出現しやすくなります。
特にIBS/SIBOでは迷走神経の働きの低下からくる蠕動運動の問題のほか、唾液や粘液低下、胃液・消化液の分泌不全などにより腸管免疫の異常をきたしており、腸内細菌のバランスにも影響を与えます。現代人は慢性的なストレスに晒されている事が多く、このとき交感神経が過活動状態である反面、副交感神経の代表である迷走神経の働きは低下している状態であると考えられています。
特に蠕動運動が低下すると、本来なら「お掃除蠕動」が異常増殖した細菌や増えすぎたガスをうまく除去してくれるのですが、このプロセスがうまくいかず腹部膨満感の原因にもなります。またIBS/SIBOでは内臓感覚の知覚過敏を伴う事が多く、少ないガスのたまりでもお腹の張りを感じやすくなっています。
SIBOの治療として増え過ぎた細菌を減らす「除菌治療」が注目されがちですが、併せて迷走神経を活性化させる治療を併せて行う事で、除菌後の再発を抑えることが可能です。
次回は「迷走神経を活性化する方法」についてお話しします。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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