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愛情ホルモン「オキシトシン」の可能性
2021年5月14日
妊娠・出産を経験された方はご存知の方も多いかもしれません。
オキシトシンは、子宮や乳腺に働くホルモンの一種で、これまで女性が出産したり、授乳したりするときに分泌されることで知られていました。そのオキシトシンが最近では「愛情ホルモン」や「愛着ホルモン」として注目される様になっています。
オキシトシンは女性が妊娠したり出産する時だけ限定的に分泌されるものではなく、養育経験によって男性にも女性同様に分泌されるホルモンの一種ですが、私たち哺乳類が集団生活(群れ)を形成する上で、個体間の関係性を円滑にさせたり、記憶や学習能力を高めるためにも重要な働きを担っているホルモンであることがわかってきました。
【自閉スペクトラム症の治療で注目されるオキシトシン】
これまで、自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害(アスペルガー症候群)、広汎性(こうはんせい)発達障害、などと呼ばれていた障害群が、近年「自閉スペクトラム症 autism spectrum disorders(ASD)」として総括されるようになってきました。
自閉スペクトラム症の特徴として、「社会的コミュニケーションの障害」が挙げられますが、これは例えば「視線が合いづらい」、「他者の表情や気持ちが理解しづらい」といった症状のことを指します。ですから家族間であってもこころが通い合っていないように感じます。
そのほかにこだわり行動や、想像力の欠如、不安やうつ状態、不眠、イライラ、興奮などの症状が出現します。どの症状が強く出るかによって、うつ病、不安障害、精神病など、別の障害と診断されてしまうこともあります。
自閉スペクトラム症の治療として、これまでソーシャル・スキル・トレーニング(SST)と呼ばれるグループ活動や個別カウンセリングが行われてきましたが、近年「オキシトシン」が自閉スペクトラム症の治療に効果があるのではと期待されています。
これはオキシトシンの持つ「社会性を向上させる」作用が、自閉スペクトラム症の特徴である社会的コミュニケーション障害を緩和させるという仮説に基づいた治療方法ですが、現在一部の医療機関で実際にオキシトシンを用いた治験が行われています。
当院では、自閉スペクトラム症の治療のほか、心身症に伴う自律神経失調に対してオキシトシンを治療に取り入れています。詳細はクリニックまでお問い合わせください。
https://wellmethod.jp/oxytocin/ Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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