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ヒスタミン不耐症とは?

2020年11月10日

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近年、SIBOにしばしば合併する病態として「ヒスタミン不耐症」が注目されています。
体内にヒスタミンが過剰に蓄積すると、ヒスタミン受容体(H1、H2、H3、H4)へ結合することを介して、さまざまな症状が発生します。

典型的なヒスタミン不耐症の症状は、本来のアレルギー反応に類似していて、皮疹や呼吸困難、鼻水などもありますが、さらに次のような症状を見ることもあります。
不安、ブレインフォグ(頭に霧がかかったように集中力や判断力が低下する)、消化管のトラブル、ニキビ、疲労、ホルモン異常、易刺激性、低血圧、性欲低下、偏頭痛、嘔気、頻脈など。

通常のアレルギー症状はアレルゲン(抗原)に対して免疫細胞が反応することを介して肥満細胞からヒスタミンが放出され起こる症状ですが、ヒスタミン不耐症(HIT)では、免疫細胞を介さず、食事に含まれるヒスタミンが分解されないことで起こる症状です。
HITの症状はアレルギー症状と酷似しているためアレルギーとして治療されているケースもありますが、厳密には免疫細胞を介さないためアレルギー反応とは区別され、「仮性アレルギー」とも呼ばれます。

血中ヒスタミン濃度の上昇は、ヒスタミンの含有量が高い食品を摂取後に健康な人にでも起こり、ヒスタミン中毒につながる可能性があります。
たとえばサバなどの青魚で蕁麻疹などアレルギー様の症状を経験された方は少なくないと思います。実はサバにはヒスタミンの前駆物質である「ヒスチジン」が多く含まれ、新鮮でない場合などは特にこのヒスチジンがヒスタミンに変化しており、ヒスタミンによる症状が出やすくなります。HITでもこのような症状が起こりますが、健康な人でも大量のヒスタミンを摂取した時には同様の症状が起こる場合があります。これをヒスタミン中毒と呼び、これもアレルギー反応ではありません。
下の図はヒスタミン中毒とヒスタミン不耐症の違いを示しています(Biomolecules. 2020 Aug 14, 10(8):1181)。

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ヒスタミン中毒ではヒスタミンを分解する酵素(DAO)が十分存在しても、その処理能力を上回るヒスタミンを摂取した時に起こる症状であるのに対して、ヒスタミン不耐症では様々な要因により酵素そのものが少なかったり、酵素の活性が低くうまく働けない時などに起こる症状であり、摂取したヒスタミンがさほど多くなくても起こる症状です。

HITのある人では、ヒスタミンの含有量が正常な食品を摂取してもと、ヒスタミンを介した症状が発生します。
HITは、ヒスタミン分解酵素の酵素活性が低下または阻害されることで起こりますが、その場合、食品からのヒスタミンを不活性化したり血流への流入を防いだりすることが十分できません。

SIBOではヒスタミン分解酵素の存在する小腸粘膜が傷害されており、消化酵素の減少や、補酵素の減少により酵素の活性が低下するためHITを合併しやすいとされています。
一般的にHITの診断は難しいとされていますが、血液中のジアミンオキシダーゼ(DAO)とヒスタミンの濃度を測定することでHIT診断の補助になることがあります。(現在当院ではDAO/ヒスタミン検査は行っていません)
特定の食品、飲料、および薬物によって引き起こされる多彩で非特異的な臨床症状が引き起こされます。例えばアレルギーおよび食物不耐性、肥満細胞症、心身症、神経性食欲不振症または副作用など、さまざまな疾患がHITに起因することがよくあります。
HITを正しく診断した後、低ヒスタミン食とジアミンオキシダーゼ(DAO)の補給に基づく治療を行うことで、生活の質を向上させることができます。
Photo by Jakub Kapusnak on Unsplash

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