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サラシア(健康食品)によるSIBOについて
2020年7月 1日
「サラシア」はインドから東南アジアにかけて広く分布する植物で、古代インド医学(アーユルヴェーダ)でも肥満の治療に用いられてきました。
このサラシアには、多糖を分解する酵素「α-グルコシダーゼ」を阻害する作用が確認され、麦芽糖とショ糖による血糖上昇を抑制する効果があることがわかったため、最近では血糖の上昇抑制効果を謳い健康食品として注目されています。
多糖を分解する酵素を阻害する「α-グルコシダーゼ阻害薬」は以前から糖尿病の治療に用いられる薬の一つですが、その代表的な腹部に関する副作用に「腹部膨満」、「鼓腸」、「下痢」が知られています。
サラシアはこのα-グルコシダーゼ阻害薬と同様に血糖上昇を抑制するのですが、中には同じような腹部の副作用が認められることがあるので注意が必要です。
これらの副作用には、腸内細菌の異常増殖(SIBO)が深く関係しています。
つまり、本来なら多糖はα-グルコシダーゼにより単糖類に分解され速やかに小腸で吸収され、血糖を上昇させます。しかし、この酵素をあえて阻害することで多糖が分解されないまま小腸を通過していきます。これは血糖抑制にとってはいいことなのですが、小腸で細菌が異常増殖(SIBO)しているような場合では、これらの多糖類は直ちに小腸内細菌の餌になりガスを発生させることになります。
SIBOの治療の一つに低FODMAP食があり、これは小腸での細菌にとって餌になる糖類や食物繊維を減らした食事療法ですが、α-グルコシダーゼを阻害してしまうと逆にFODMAPがこの酵素による分解を受けないため、腹満や鼓腸、下痢などの症状が出やすくなります。
もしあなたがこれらの薬や健康食品で腹部の症状が出現する場合は、SIBOを疑ってみるべきでしょう。そして、まずはFODMAPと呼ばれる発酵し易い糖質を控えてみるといいかもしれません。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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