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小腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth:SIBO)(※)について

2020年6月28日

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(※)SIBOはまだ新しい概念であり、医師の間でも十分にはまだ知られていません。SIBOに関する検査・治療は全て自費診療となります。

小腸には大腸に比べ生息する細菌の数は非常に少ないのですが、様々な原因により小腸内に細菌が異常増殖することがあります。
異常増殖した細菌は私が食べたものをすぐに餌として発酵し始めるため、小腸内で過剰なガスが発生し様々な腹部症状の原因となります。

SIBOはまだ比較的新しい概念であり、腹部膨満感や下痢、便秘など過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどと類似の症状を呈する疾患で、近年増加傾向にあると言われています。

診断方法や治療方法もまだ一般的には確立されていないため、「過敏性腸症候群(IBS)」や「機能性ディスペプシア(FD)」など既存の疾患として治療を受けているケースも多くあります。

ある調査ではIBSの60〜85%にSIBOの合併を認めることがわかりました。
SIBOでは小腸内に水素やメタン、硫化水素を主としたガスが産生・蓄積されるため、腹部膨満、鼓腸または腹部不快感をきたします。

細菌増殖を制御する仕組みとして胃酸分泌、膵液・胆汁などの分泌、分泌型IgA腸管蠕動運動、回盲弁の存在などが関与しているとされていますが、その因子が破綻・欠乏することによりSIBOが発症すると考えられています。

〈SIBOの原因〉

胃酸分泌:無胃酸症、プロトンポンプ阻害薬
膵液・胆汁の分泌:膵外分泌機能不全(慢性膵炎、膵全摘後)、胆汁排出障害(原発性胆汁性肝硬変、閉塞性黄疸)
解剖学的異常:小腸閉塞、小腸狭窄、小腸憩室、術後盲係蹄、回盲部切除後
腸管蠕動異常:今日飛翔、糖尿病自律神経障害、放射線性腸炎、慢性偽性腸閉塞症、ストレス性自律神経障害
免疫機序の破綻:IgA欠損症、免疫不全症候群

〈SIBOと消化吸収〉

SIBOにより消化吸収障害によりタンパク質や脂質だけでなくビタミンやミネラルの吸収障害を伴う場合があり、体重減少、下痢、貧血などがみられます。

『当院におけるIBS/SIBOに関する検査・治療について』

(いずれも自由診療となります)
SIBOはまだ新しい概念であり確立された治療法はありません。
欧米の医師(Medical doctor)や自然療法医(Naturopathic doctor)、機能性医学を実践する医師(Functional medicine doctor)たちは様々な治療を試みて成果を上げています。
当院では欧米でのSIBO治療で行われている方法に倣い日本人向けにアレンジした治療法をご提案しています。

〈SIBO関連検査〉

SIBOの診断基準は確立していませんが、これまで小腸細菌の異常増殖を調べるゴールドスタンダード検査として「空腸吸引液培養」が用いられ、培養にて小腸での細菌数の増加がみられる場合にSIBOの診断がなされてきました。
しかし、侵襲的であることや難培養菌の扱いが困難であることなどの問題があり広くは普及はしていません。

[SIBO呼気検査]

SIBOの非侵襲的な検査法として「SIBO呼気検査」があります。ラクツロースを経口的に摂取し、腸内細菌で代謝されて呼気に出てくる水素ガスやメタンガスを経時的に測定する方法です。ただし空腸液吸引培養と比較すると、特異度、感度が低いとされています。

〈その他のSIBOに関連する検査〉

[尿中有機酸検査(2回目以降は菌有機酸検査)]

尿中に含まれる70種類以上の有機酸を測定することで、カンジダなどの真菌やクロストリジウム・ディフィシル菌などの異常増殖を推測することができます。同時にミトコンドリア機能の測定が可能です。

一般血液検査 基本的な栄養状態や貧血の有無を測定します
IBS抗体検査(抗CdtB抗体、抗vinculin抗体):ibs-smart 抗CdtB抗体と抗Vinculin抗体を測定します

『SIBOの治療について』

1、増殖した細菌(真菌)を除菌する
欧米では抗生物質(リファキシミン、ネオマイシンなど)がよく使われています。除菌により症状の改善が期待できますが、再発も比較的多いとされています。
上記のほかに天然抗菌ハーブを使った除菌療法も自然療法医(Naturopathic Doctor)を中心に広く使われています。
SIBO呼気検査でメタンガス優位かあるいは水素ガスが優位かで使うハーブの種類や使用期間が変わってきます。
さらにカンジダなどの真菌増殖が認められる際はバイオフィルム対策が必要となることがあります。
当院では主に天然抗菌ハーブを使ったサプリメントや真菌によるバイオフィルムを崩すためのサプリメントを使用して治療に当たります。

2、腸内細菌のエサを減らす
小腸に異常増殖した細菌たちの餌は私たちの食べたものです。ですから「断食」は症状改善に効果が認められています。
エレメンタルダイエット(成分栄養)は、私たちが必要とする栄養素をできるだけ細かい分子に加工した成分を内服する治療です。これらは腸内細菌の餌にはなりにくく、症状改善が期待されます。
必要な方には、通常2週間程度のエレメンタルダイエットを実施します

3、腸の蠕動運動を促進する
SIBOの原因の一つとして腸蠕動運動の低下が指摘されています。腸の蠕動が阻害されるとガスが溜まりやすかったり、増殖した細菌や食べかすを掃除する働きが低下します。
食中毒などで病原性の細菌が出す毒素(CdtB)が体内に入ると体はそれに対する抗体(抗CdtB抗体)が産生されます。
抗CdtB抗体に対してさらに免疫反応が起きて抗Vinculin抗体が産生されることがあります。
いずれの抗体も腸の神経を障害し、蠕動運動を阻害します。
モサプリド、エリスロマイシン、漢方薬、低用量ナルトレキソンなどが治療に用いられます。
当院では主にモサプリド、漢方薬などを使用します。(現在低用量ナルトレキソン導入準備中です)

〈食事療法〉

[低FODMAP食]
これまで腸内環境に良い食材として、一般的に食物繊維や発酵食品が注目されてきました。しかしIBSやSIBOといった病態では、むしろこれらの食事が症状を増悪させるケースが多いことがわかってきました。そこで注目されているのが「低FODMAP食」です。
FODMAPとは
F : 発酵性
O : オリゴ糖  ガラクトオリゴ糖とフルクタン
D : 二糖類  ラクトース(乳糖)が代表
M : 単糖類  フルクトース(果糖)が代表
and
P : ポリオール類  ソルビトールやキシリトール
の頭文字をとったもので、つまり発酵しやすい4種類の糖類のことで、これらの食事をできるだけ減らした食事が「低FODMAP食」です。
低FODMAP食は症状の改善に役立ち、IBSやSIBOの方は一度は試してみる価値のある食事療法です。ただし、長期的には低FODMAP食のように食物繊維を含む炭水化物が少ない食事はかえって腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)を起こす原因にもなるため、症状が改善したら徐々に緩めていくことが必要です。

[ボーンブロスの特徴]

  • 精製された糖質を効果的に減らす
  • インスリン抵抗性の改善
  • リーキーガット症候群の修復
  • タンパクの補給
  • ミネラル・ビタミンの補給
  • グラスフェッド( 放牧)を選ぶ
  • 6時間以上煮込むことで十分な栄養成分が摂取できる

〈SIBOと心理療法〉

SIBOやIBSは心身症としての側面もある疾患です。
消化管は自律神経の支配を受けています。特に交感神経が優位になりすぎると、胃酸や消化酵素の分泌、蠕動運動が阻害されることでSIBOの症状が増悪すると考えられています。
幼少時に大きなストレスを受けると過敏に反応してしまう神経プログラムがインストールされると考えられています。
臨床心理士による心理カウンセリングで症状の緩和が期待できます。

『SIBOを再燃させないために』

〈維持療法〉
一度症状が改善しても再燃するケースも少なくないため維持療法が大切です。

  • 低糖質、グルテンフリー・カゼインフリー(小麦と乳製品を避ける)、人工甘味料を避ける、ボーンブロスの活用。
  • 空腹時間をしっかり確保するために間食をできるだけ取らないように。寝る前の食事は腸をクレンジングする大蠕動(MMC)を阻害するために避ける。
  • 1日コップ8杯程度(1.5リットル)の水を摂取。
  • 消化能力に応じたタンパク質の摂取。ボーンブロスの活用。
  • 胃酸をできるだけ分泌させるためにレモン水を活用する。

ストレスマネジメントも再燃予防には重要な位置づけです。あなたが喜びに満たされていると自律神経のバランスが良くなり再発予防にも役立ちます。

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