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SIBO治療における除菌の際のオプションについて
2020年4月 6日
【メタン産生アーキアに対する抗生物質】
多くのメタン産生アーキア(古細菌)では通常よく一般的な細菌に使われるような抗生物質に対しての耐性がよく認められます。ですからアーキアのようなタイプの微生物には通常の細菌に使うようなメジャーな抗生物質は多くの場合無効です。
SIBOに対して最も一般的に使われる抗生物質「リファキシミン」でさえ、メタンSIBOに対する有効率は単独使用の際は30%程度と報告されています。しかしながらリファキシミンとネオマイシン(※日本では販売されていません)の併用ではその有効率は87%になります。
残念ながらネオマイシンは広スペクトラム抗生物質として知られるも、それ故腸内細菌にとってのダメージは大きく、過去50年の間に消化管内の殺菌目的でよく使用されてきましたが、多くのいわゆる善玉菌の数も恒久的に減らしてしまったことが知られています。ある研究によると、ネオマイシン は小腸粘膜を傷つけ、他の疾患のリスクを増加させます。
このようにSIBOの原因菌に対する除菌には効果があるものの、ネオマイシンによる腸内細菌に対するダメージを容易には回復させられなくなるかもしれないのです。
リファキシミンは、一般的に処方されている抗生物質よりもスペクトラムが狭いと考えられており、消化管の外へは吸収されないということは注目に値します。基本的にこのことは、ネオマイシン など他の抗生物質に比べ、腸内細菌を一掃してしまう可能性は低くなります。リファキシミン自体はメタンSIBOの成功率は低く、できればネオマイシンで腸に永久的なダメージは避けたいので、抗生物質を第一選択の治療としない方が良いと考えられます。【天然ハーブ抗菌剤】
当院が考える第一選択の治療法の一つは、天然のハーブ抗菌剤を用いるものです。
SIBOの臨床試験では、腸内細菌叢に対する攻撃性が低いだけでなく、抗生物質と少なくとも同等の効果があることが示されています。抗菌剤を使用してメタンSIBOを根絶する際に留意すべき2つの重要な原則は次のとおりです。
1)抗菌剤を組み合わせる
SIBOを引き起こす可能性のある細菌とアーキアにはさまざまな種類があり、すべての抗菌剤がすべての種類を除菌することができるわけではありません。これを克服する最善の方法は、最大の効果を得るために2つの異なるハーブを使用することです。
2)耐性株の出現を避けるために、使用するハーブをローテートさせる
細菌とアーキアは賢く、すぐに環境に順応します。抗生物質に対する耐性ほど一般的ではないものの、特定のハーブの有効性は、その次に使用する際には減弱してしまう傾向があります。
多くのプロトコルでは、1サイクルあたり約30〜60日程度要しますが、これもSIBOの種類によって異なります。呼気検査におけるメタンガスのレベルによっては、複数回の除菌が必要になる場合があります。特定のハーブに関しての研究の多くは家畜で行われていますが、家畜からのメタンガスの発生は昨今の深刻な環境問題となっています。したがって、決して完璧とは言えないものの、臨床的に見られるようなメタン産生菌の減少は環境問題にも貢献するかもしれません。
当院でもハーブの種類や投与量を常にアップデートしていますが、いずれも下記のようなハーブ成分を含むサプリメントを組み合わせて使用することとしています。オレガノ、タイム、セージ、レモンバーム、アリシン(ニンニク成分)、ベルベリン、オレゴングレープ など
(参考)The Functional Gut Health Clinic by Bella Lindemann
Photo by Nadine Primeau on Unsplash Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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