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病を経験する
2019年12月21日
当たり前のことですが外来診療をやっていると病気を抱えた方がやってきます。
もうすでに診断を受けた方もいらっしゃれば、まだ診断は受けていないけど不調が続いている。というような方もいらっしゃいます。
そしてもちろんその
「忌まわしい」
症状や病気を「治」して欲しくていらっしゃいます。
そして治療を受けて晴れて通院から卒業していかれる方も
多くいらっしゃいます。
しかし、正直なところ。。。
私自身が患者さんを治したことはありません。。。
と言うのも、治っていく患者さんは
最終的にはご自身で治っていかれるからです。
私は診察室でよくこんな話をします。
決して医者も薬も患者さんを治すことはなく、私たちが行っていることは、患者さん自身が「自己治癒力のスイッチ」を、オンにできるように少しだけサポートすることなのです。
意外に思われるかもしれませんが
たとえ大きな手術を受けた場合でも、
最終的には患者さんに備わった
患者さんの自己治癒力のスイッチを
押すのは患者さん自身なのです。
しかし「自己治癒力のスイッチ」と
言われてもどうすればいいのか
わかりにくいかもしれません。
こんな質問を受けた時には
逆にこう質問することがあります。「病気があなたに教えてくれたメッセージは何だったでしょうか?」
私たちは肉体を持つ物理的な存在ではありますが、その肉体は精神性(こころ)を支える器でもあり、お互い深いつながりがあります。
ですから肉体が何らかの異常サインを発しているときは、体や無意識からの何らかの「メッセージ」と捉えてみることで様々な「気づき」がもたらされます。
このメッセージに耳を傾けることが
自己治癒力のスイッチをオンにしやすく
サポートしてくれるのです。
ある男性患者さんはこう仰いました。「私は家族のために常に仕事を頑張らないといけないと思っていました。
でも、病気をしたことで、必ずしもそうではないなと気づきました。
もっと家族の時間を大切にすることの方が、自分が望んでいることだと気づけたし、私がリラックスできている時の方が、仕事の効率も上がるんです。」この方は病気を経験したことで
これまでの優先順位が変わり、
人生において本当に大切なもの
に気づかれました。
きっと、体や無意識はそれまでにも
何らかのサインを送っていたはずですが、
それを無視してそれまで通りの生き方を続けると、体は「病」という方法で気づかせようとします。
もちろん、体のメッセージを
「病」という方法なしで気づける方が
いいと思われるかもしれませんが、
逆に「病」を経験することで
体や無意識のメッセージに気づき、
本来の自分が生きたかった生き方が
よりスムーズにできるようになる場合もあります。
ですから、自分で自己治癒力のスイッチを
オンにした方々はこう仰います。
「病は恵」だと。
人生には生老病死、本当に色々な出来事があります。
私たちは生きている以上、様々な経験をすることで、そこから学び成長して行くのです。
ですから、病を経験することも
決して「忌まわしい」と捉えるのばかりではなく、その経験を通してどんなメッセージを受け取り、自分はどう成長して生きたいのかを改めて考えさせられる、絶好のチャンスと捉えることで多くの気づきが得られるのです。
中には、一旦治ったと思っても
また同じような症状を繰り返し
また受診される方もいらっしゃいます。
体や無意識は、「命」への理解がまだ浅いときには、何度でも私たちにメッセージを送ってきます。
ときには「病」という形で。
かつて私自身が難病を経験し、
思い通りにならないこの世を恨み、
神を呪った時期もありましたが、
そんなときはどんなにあがいても
自己治癒力のスイッチをオンにすることは
できませんでした。
しかし、病のメッセージに耳を傾け、自分の喜びに目を向け、人生の優先順位を再度見つめ直し、そしてよりリラックスした状態が得られたとき、いつの間にか私のスイッチは「オン」になっていました。
今では、この病の経験こそが自分を自分たらしめる、大切な経験だったと思っています。
ですから、私にとって病の経験は必ずしも
「忌まわしい」ものではなく、
これを経験したことはよかったと思います。
医療の現場では時には切れ味のいい薬で
辛い症状を取り除くことが
必要とされる場面もありますが、その症状を得た「意味」を考えて行くことの重要性は、慢性疾患や難病が増えている21世紀において、ますます高まるのではないでしょうか。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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