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長年の辛い症状は葉酸代謝の問題だった
2019年9月 7日
先日久しぶりに来院してくださった女性が、ご自身の辛かった症状が随分解消し、喜びのご報告をしてくださいました。
この方は現在60代の方ですが、40代の頃よりうつを診断され、他に全身倦怠感、集中力低下なども自覚されていました。
約1年前の初診時のオリゴスキャン検査で著明な亜鉛を中心としたミネラルの不足が認められました。(①)
また、抗うつ薬であるSSRIの内服歴もありましたが、副作用で内服を続けることができなかったという病歴もあったため、葉酸代謝に関連する遺伝子MTHFR677検査を行ったところ、ホモタイプ(+/+)の遺伝子多型を認め、葉酸代謝の低下が疑われました。
このMTHFRに遺伝子多型がある場合、体内に摂取された葉酸をうまく活性化することができず、それに関連する様々な代謝異常をきたすことが知られています。中でも良く研究されているのが、動脈硬化のリスクを高めるということです。つまりMTHFRの遺伝子多型は脳梗塞や心筋梗塞のリスク上げるほか、認知症や骨折のリスクとも関連することが最近の研究で明らかになっています。さらにSSRIなどの薬剤の副作用が出やすいことも知られています。
このMTHFR遺伝子多型に対しては、適切な葉酸補給(Folic acidではなくFolate)および、葉酸を活性化する際に必要なビタミンB6やビタミンB12を同時に取ることが重要です。
またMTHFRが関与する葉酸サイクルにおいて、亜鉛が重要な役割を果たします。つまり亜鉛なしにはホモシステインをメチオニンに変換することができず、ますます動脈硬化等のリスクを上げてしまうのです。(②〇の部分)
この方の場合、MTHFRの遺伝子多型に加え、亜鉛不足も著明であったことにより、葉酸代謝やメチオニン代謝が大きく阻害されていた可能性があります。
この方の治療としては、
・ビタミンB群および活性型葉酸、ビタミンB12、
・亜鉛を含む微量ミネラルサプリメント
・腸内環境を整えるプロバイオティクス
を始めました。
この方の場合、治療開始後約1ヶ月で、頭にかかった靄が晴れ、集中力が戻ってきました。
これまで諦め掛けていた英語に関する検定試験を受けてみようという意欲が湧いてきました。
これまで様々な治療を試みられてきましたが、なかなか結果が出ず、日常生活にも支障が出ていたのですが、必要なミネラルやビタミンを十分量補うことで、症状の改善が認められたのです。
この方は遠方の方なのでなかなか来院はできないのですが、ぜひオリゴスキャンでミネラル測定をして、自分の体調の改善を確かめたいとのことで約1年ぶりに来院されました。
その時のオリゴスキャンの結果が③です。
著明に低値であった亜鉛がまだ不足傾向はあるものの随分改善し、糖尿病とのリスクも知られているクロムなど低かった他のミネラルの量も改善傾向を認めます。
この方の場合、ある程度亜鉛補充ができると亜鉛のサプリメントは一旦終了できるかと思いますが、葉酸補充に対しては遺伝子多型もあることより、ある程度補充していくほうが様々な体のトラブルを予防できる可能性が高いと考えられます。
オリゴスキャンや遺伝子検査を駆使して、分子栄養学的に解析することで、不調から解放される可能性はあなたにもあります。
もしきになる症状があればご相談ください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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