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30代女性 アトピー性皮膚炎 -腸内フローラ移植症例紹介
2019年9月24日
幼少期からのアトピー性皮膚炎が、ストレスで増悪。6回の移植を約1ヶ月かけて行うも、直ちに改善には結びつかず。その後、生活習慣の改善やサプリメントの追加などを経て、移植から4ヶ月後に劇的に改善した症例。患者様の状態によっては、移植から症状改善までにタイムラグがある可能性があることを示唆している。
初診時情報
患者様 30代女性 主治医 院長 城谷昌彦 病名 アトピー性皮膚炎 発症時 10年前 移植目的 肌トラブル 主訴 子供の頃からアトピー体質であったが、10年前に飲食業を始め、お酒、ストレスでアトピーが増悪。以後、お酒をやめても改善せず。現在2人の子供の育児中(授乳中)。 服薬中の薬 ネリゾナクリーム
グリメサゾン既往歴 なし 経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など 20代後半から3年間バーを経営。その間は毎日飲酒していた。 移植情報
移植期間 2018年6月27日~2018年7月25日 移植回数 6回 移植初回~移植終了までの変化 2回目移植時問診 本人談:1回目の翌日は肌の調子もお腹の調子も良くなった気がしたけど、その翌日にはまた戻ってしまった感じがした。 3回目移植時問診 本人談:2回目の移植以降昨日まで排便なかった。肌はやはりかゆいのが続いて夜が寝られない。
医師より:顔、首、両手の赤みは強い 手には浸出液もあり。5回目移植時問診 本人談:皮膚症状変わらず、痒くて寝られない
医師より:両側手指発赤強い 顔面、頸部、も赤みあり。今の所、皮膚以外の所見(便通、メンタル等)も変化なし。6回目移植時問診 本人談:皮膚症状変わらず、かゆみも続いている。排便は泥状便はなくなったが、1週間に2回程度の排便で残便感があり不快な感じ。前の方がスッキリして楽だった感じ。
医師より:顔面、手背の発赤は強い。亜鉛不足あり、Bコンプレックスサプリメントのほか、ビオスリー、消化酵素、亜鉛製剤開始。移植終了後の変化 [2018年9月]
本人談:移植終わったが全然よくならい。むしろ増悪している。ビオスリーも追加したが効いているかわからず嫌になって来た。本当に移植が意味があったのか疑問に思う。便通も以前より悪く週2回程度しか出ていない。
医師より:手指、首など浸出液を伴う皮疹の増悪あり。かゆみも伴い常に掻いている。[2018年12月]
本人談:すごく皮膚の状態が良くなって来た。痒みが取れてよく寝られている。ステロイドもほとんど使っていない。ストレスは相変わらずある。夜間子供の世話も相変わらず。主人に対してもストレスは変わらず。
医師より:顔面、頚部、四肢いずれも赤みが軽減し、落屑もほとんど見られない。表情も明るい。処方した亜鉛製剤もほとんど内服していない。ストレスはあるがカウンセリングの中で行なった「一番好きな場所」をイメージするワークが効果あり。「寝室で子供とゆっくり過ごすことが幸せ」と言語化できて来たことは大きな変化と考える。もともと亜鉛は低値でありさらに皮膚の代謝改善目的で亜鉛製剤(プロマック)は継続とす。評価・考察
移植評価 症状の明らかな改善 移植前後フローラバランス検査の変化 [移植前]2018年6月実施
フローラバランスとしては主にメンタル面を司る菌叢が特に目立ってアンバランス。全体的な菌の多様性は問題ありませんが、クロストリジウム属に押し下げられたバクテロイデス属などが本来の良い働きを妨げられてしまっていると推測される。[移植後]2018年8月実施
全体のバランスは大きく改善。加えて、肌を再構築するために必要な腸内細菌も申し分なく存在し、腸内細菌の代謝に従って免疫機能の正常化、組織の再構築が追いついてくるはずと考える。血液検査の変化 データなし POMS2スコア変化 データなし <腸内フローラバランス 移植前後比較データ>
<本人の体感(アンケートより>
2018年8月取得
移植前、すぐによくなるだろうと期待していた。
移植中は変化なし
移植後すぐ、自分では少し改善したかなと思っていたが、周囲からはひどくなったと言われた。有害事象の有無:あり(軽度)
・具体的症状:軽度の便秘
・移植との因果関係:おそらく関係あり ※移植終了後、便通も次第に改善<移植総評・考察>
腸内細菌叢の状態が改善することにより、腸管免疫を起点とするTreg(制御性T細胞)の働きが正常化したこと、エクオール産生株の働きにより皮膚組織が再生したことの双方が考えられる。アトピー性皮膚炎やアレルギーのケースで移植から改善までに数ヶ月を要する事例はこれまでも数例確認されており、患者様自身の年齢や免疫の働きによって、改善までに要する期間や、免疫機能の揺り戻しによる軽度の有害事象の発生有無が左右される。
移植後すぐに症状の変化が見られなくても根気強く経過を見られるようサポートすることや、血液検査などの結果から適宜サプリメントの追加を行うなど、長い目で見た治療の必要性を感じた一例であった。
また、アトピー性皮膚炎は精神的な一面が関与していることも多くあり、心理学的なアプローチも有効であることを追記し、考察とする。
▼移植前の写真
▼移植後の写真
Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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