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30代男性 潰瘍性大腸炎 -腸内フローラ移植症例紹介
2019年8月 9日
下痢、腹痛を幼少期より繰り返している。平成5年、同症状に対して精査。潰瘍性大腸炎の疑い、過敏性腸症候群、うつの診断を受け、胃腸薬、炎症を抑える薬、うつの薬で治療を行っていた。現在、服用薬はない。今回、生理食塩水菌液とウルトラファインバブル水菌液による糞便移植を行う。生理食塩水菌液の方から実施。一時的に軟便から下痢症状になる。次に移植用機能水菌液を3回実施。便は固形に変わり、糞便移植をする前より症状の改善をみる。
初診時情報
患者様 30代男性 主治医 院長 城谷昌彦 病名 過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎の疑い、うつ病 発症時 不詳(幼少時より) 移植目的 下痢 主訴 下痢、腹痛、胃腸の調子が良くない、うつ症状、昼間の眠気 服薬中の薬 なし 既往歴 潰瘍性大腸炎疑い、過敏性腸症候群、うつ 経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など 平成5年頃、既往歴(潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、うつ)の症状について大学病院、クリニックにて診断を受けて、胃腸薬、炎症を抑える薬、うつの薬で治療を行っていた。現在、服用薬はない。
家族歴:胆管がん、胃を1/2摘出(父)移植情報
移植期間 2018年1月17日~2019年2月24日 移植回数 生理食塩水1回+ウルトラファインバブル水3回 移植初回~移植終了までの変化 1回目移植時問診 以前に大腸ファイバーで炎症を認めるも潰瘍性大腸炎確定に至らず。過敏性腸症候群の診断とされたこともある。また、二次的な抑うつ症状も過去に認める。 2回目移植時問診 1回目移植終了後3日目ころより、軟便から下痢便となる。 3回目移植時問診 2回目移植後下痢が続いていたが、2~3日前より固形便へと変わる。 4回目問診 3回目移植終了後は移植を受ける前より種々の症状は改善していると感じる。 評価・考察
移植評価 状の中程度の改善 移植前後フローラバランス検査の変化 [移植前]2018年1月実施
腸内フローラは、細やかすぎる気遣いや、神経質な部分をお持ちの方であることを示唆しております。
欧米型の食事スタイルを思わせるバランスが見受けられますが、食事以外にサプリメントや投薬等によっても同様のバランスを示すことがあります。[移植中]2018年1月実施
大学方式では従来菌の持っている活動性が予測不可能な挙動を示すことがあり、考察は差し控えたいと思います。[移植中]2018年2月実施
清水式の移植により、菌たちが本来のテリトリーに生着したと推測します。あとは、プロボテラ、バクテロイデスの比率がもう少し減り、クロストリジウム属が同じ比率のまま減り、乳酸菌ビフィズス菌の割合が増えてくれるとさらなる症状改善が期待されます。[移植中]2018年2月実施
3回目の結果とほぼ同じコメントです。[移植後]2018年3月実施
栄養指導が功を奏しているように思われます。精神状態は、どちらかと言うとややポジティブに傾いているように見受けられます。引き続き、日和見菌たちによるさらなるバランスの改善が望まれます。血液検査の変化 データなし POMS2スコア変化 抑うつ、緊張、活気に改善がみられる。 <腸内フローラバランス 移植前後比較データ>
<移植総評・考察>
過敏性腸症候群、および潰瘍性大腸炎(疑い)に対して行った生理食塩水によりFMTでは移植後より下痢〜軟便傾向を認めたが、その後3回行ったウルトラファインバブル水によるFMTでは徐々に固形便へと変化をした。また抑うつ傾向もPOMSにて改善が認められた。
1回のみの生理食塩水によるFMTでは下痢〜軟便との因果関係に関しては不明であるが、全4回を通して症状は改善傾向にある。
FMTにはIBS等の症状改善効果があると考えられる。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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