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胃酸の逆流症状には胃酸抑制剤??
2019年5月 6日
胃酸を抑える薬が臨床の現場では非常に重宝され広く使われていますが、中でもプロトンポンプインヒビター(PPI)と呼ばれる胃酸抑制剤が使われる機会が増えています。
日本人も食生活の多様化に伴い、胸焼けの症状を訴える人が増えています。そんな時によく使われるのがPPIで、非常に切れ味の良い薬として処方されています。
しかし、長期にわたりPPIを使うことには注意を払っておく必要があります。
胃酸を抑えることは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を阻害したり、クロストリジウム・ディフィシルや肺炎などの感染症のリスクを高めることも指摘されています。
食道炎や逆流症状を抑えるためにPPIを使う以外に、ライフスタイルを見直すことで症状を軽減させることが可能なこともぜひ知っておいてください。- 夕食を少なく、朝食を多く
- よく噛む
- 食事を少しずつ食べ、回数を増やす
- 定期的な運動(蠕動運動を促進させる)
- 日没までに夕食をすませる(就寝4時間前までに食事をすませる)
- 脂質の多い食事を避ける
- カフェイン、チョコレート、炭酸飲料、ニコチンのように胃の動きを抑制する食事を避ける。これらは噴門部(食道と胃のつなぎ目)の働きを抑え、逆流させやすくする。
- ガム、香辛料の効いた食事、柑橘類、玉ねぎ、にんにく、アルコール、なども逆流症状を増悪させるので要注意
- 食後に運動
- ウェストをきつく締める服は避ける
- 腹八分目
- ストレスマネジメント。ヨガやマインドフルネス瞑想など
今PPIを内服中の方がいきなり中止するとかえって症状が増悪することがありますので、徐々に減らすようにしましょう。
例えば
毎日→2日に一回 1週間
2日に一回 → 3日に一回 1週間
3日に一回 → 4日に一回 1週間
この感の症状の増悪あれば「オンデマンド」といってその時だけ胃酸の薬を内服しても良いでしょう。PPI以外にH2ブロッカーと呼ばれる内服薬でも構いません。
胃酸の逆流症状は、必ずしも胃酸が多すぎるからとは限らず、他に噴門部の機能の低下や食べ過ぎ、脂質の取りすぎ、就寝前の食事なども原因となっていますので必ずしも胃酸を抑えることだけで問題が解決するわけではありません。
また最近注目されているSIBO(小腸内細菌異常増殖症)も胸焼けやゲップの原因となることがありますが、この時はむしろ胃酸が少ないことが要因となっています。またPPIはSIBOの原因の一つとも言われていますからPPIの内服で症状の増悪もあり得ます。
このように薬を少しでも減らしたいということであれば、ライフスタイルの見直しが必須です。
ぜひご参考までに。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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