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腸内環境を乱す「SAD」な食事
2019年4月30日
GWに海外に行かれている方も多いかと思いますが、アメリカの食事ですぐに思いつくものは何でしょうか?
おそらく、ハンバーガーやステーキといったところでしょうか。
他にもとても甘いお菓子類や砂糖がたっぷり入った飲料などを思い起こす人も多いと思います。典型的なアメリカ人の摂取する食事を
「Standard American Diet」
と呼びますが、以前より健康にとってあまり良くないものが含まれるとのことから、その頭文字をとって「SAD」(悲しい)とも揶揄されることがあります。
特に過去50年では食品添加物や塩分、糖分、脂肪分の量が増えていることもますます「SAD」な状況を強化してしまっています。
では食品添加物の中でも特に問題視されるようになっているものは何でしょうか。
UCLAの消化器専門医であるEmeran Mayer博士によると- 人工甘味料
- 食品乳化剤
- 活性グルテン
これらが特に腸内環境を乱し、慢性炎症の原因となると指摘しています。
人工甘味料
様々な食品に異性化糖という形で多くの糖分が含まれています。「ダイエット〜」とか「糖質オフ」という謳い文句で人工甘味料が含まれていますが、実際のところ、人工甘味料の方が砂糖よりも安価であることが多くの食品に添加されている理由のようです。
FDA(アメリカ食品医薬品局)はこれらの人工甘味料は短期的には安全としていますが、長期的には調査されていないのが実情です。
近年の研究では、サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料は、体重増加、2型糖尿病などメタボリックシンドロームに関連するリスクを増やすことが示唆されています。
人工甘味料を摂取させたマウスの便を、無菌マウスに移植したところ、血糖の上昇やメタボリックシンドロームの兆候が出現したとの報告もあります。
結果として、人工甘味料は減量や糖質制限に役立たなうどころか、慢性炎症の原因となり、ひいては脳への炎症をも引き起こすことになります。食品乳化剤
乳化剤は洗剤と似た化学構造を持ち、水と油のように本来混ざり合わない物質を混ざり合うように働きます。
マヨネーズ、キャンディ、チョコレート、アイスクリームなどの多くにはこの食品乳化剤が含まれています。
私たちの腸には、粘液の層が腸の上皮粘膜をしっかり覆うことでバリア機能を保っています。この粘液層があることで、容易に腸内細菌が超上皮粘膜に接触することができないようになっています。
しかし、最近の研究で食品乳化剤はこの粘液層を破壊することがわかってきました。バリア機能が破綻すると、いわゆるリーキーガットと呼ばれる状態となり、dysbiosis(腸内毒素症)という状態を引き起こします。活性グルテン
主に小麦に含まれる「グルテン」をさらに精製して心地よい舌触り、もちもちした食感、賞味期限を延長させるなどの目的で加工されたもののことです。
パンやパスタなどのように従来から小麦を含む食品だけでなく、ソースやミルク、肉製品などにも添加物として使用される機会が多くなっています。
グルテンの問題はマスコミで取り上げられることが増えてはいますが、さまざまな原因不明とされている不調の原因の一つにセリアック病のような重篤な病気が潜んでいる場合もあります。
セリアック病とは、グルテンに対して免疫が異常に反応することで小腸粘膜が障害を受け、小腸が萎縮する病気ですが、もともと日本人には少ないと考えられていました。しかし、最近の調査では日本人の間でも増えていることがわかっています。
セリアック病では、グルテンに対して免疫が異常に反応することで小腸粘膜が障害を受け、小腸が萎縮します。
セリアック病によって萎縮した小腸は、本来の役割である「栄養素の吸収」が十分にできなくなり、栄養障害が引き起こされ、下痢をしたり、体重が減少したり、慢性的な疲労、貧血、内臓障害、口内炎などを引き起こしたりします。ADHD(注意欠陥・多動性障害)や統合失調症にも、グルテンがかかわっているともいわれています。
そのほかに小麦アレルギーや、非セリアックグルテン過敏症なども小麦による症状が現れますが、セリアック病やこれらの疾患以外の症状のない人にとってグルテンが害を及ぼすかどうかは実のところまだ結論が出ていません。
活性グルテンの摂取量とともにほかの食品添加物の摂取量も増えていることから、他の成分によって腸内環境が乱れている可能性も否定できず、今後の更なる研究が待たれるところです。
ですから、万人にとって小麦の摂取を控えることが健康につながるかどうかはまだ現時点ではわかりませんが、私自身は摂りすぎないように意識はしておいたほうが良いと考えています。今の日本も戦後急速に小麦の使用量が増えており、また乳化剤や人工甘味料の使用量も増えていることを考えると、決してアメリカの食事だけが「SAD」というわけではありません。
もう一度本物の食べ物とはどんなものなのか、ぜひ考えてみてください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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