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体のサビ「酸化ストレス」
2019年1月31日
我々の祖先である原始的な生物が空気中の酸素を材料にエネルギー産生を行うようになってから、それと引き換えにエネルギー産生の過程で「フリーラジカル」と呼ばれる不安定な分子を生み出し、これはミトコンドリアや細胞膜、DNAなどを「サビ」つかせることになります。
これに対抗するために私たちの体には様々な「抗酸化物質」を生体内で作り出したり、あるいは食事などから天然の抗酸化物質を取り入れることにより「サビ」が進みすぎないようにバランスを取っています。
生体由来の抗酸化物質には、グルタチオン、メラトニン、尿酸、ウロビリノーゲンなどがあり、天然の抗酸化物質にはビタミンA、C、E、ポリフェノールなどがあります。
これらに加えて最近注目されているのが「水素」です。
特に水素分子はヒドロキシラジカルと呼ばれる細胞障害性の強い活性酸素を選択的に消去できるという点において非常に優れた抗酸化物質です。
一時期「水素水」がマスコミでも取り上げられましたが、残念ながら品質の高くない関連商品も出回ったことにより水素の信頼性を損なうことになりました。
しかし、以前から研究者の間でも水素は関心の高い研究対象であり、大学病院などでも水素ガス吸入の臨床試験が進行中です。
あなたの酸化ストレスは?
酸化ストレスを程度を知る検査として尿中の8-OHdGを測定することで、酸化ストレスによるDNA損傷の程度が評価できますが、検診のデータから酸化ストレスの程度を推測する方法をご紹介しておきます。
検診などで血液検査を行った際に、「ビリルビン」が高値と指摘された方はいらっしゃいませんか?
ビリルビンの中でも特に間接ビリルビンが高い際は、遺伝的な要因で起こる体質性黄疸の他に、酸化ストレスが高い状態に伴う高ビリルビン血症の可能性があります。
酸化ストレスが高いと赤血球の膜が酸化ストレスで破壊されます(溶血)。この際に赤血球内の間接ビリルビンが漏れ出すことで高ビリルビン血症となります。分子栄養学的には間接ビリルビンは0.6mg/dl以上の際は酸化ストレスの亢進を疑います。(この値は一般の検診等では必ずしも異常と捉えられない場合があり注意を要します)ビタミン不足やミネラル不足も酸化ストレスを増加させます
ビタミンA、C、Eは昔からよく知られた抗酸化物質ですし、亜鉛やセレンも抗酸化物質として働きます。Cu-Zn SODと呼ばれる強力な抗酸化物質はその活性中心に亜鉛を含む物質で亜鉛不足は抗酸化力低下を招くことが知られています。
日頃からバランスよくビタミンやミネラルを食事からとることが基本ですが、近頃「新型栄養失調」と呼ばれる状態の方も増えています。カロリー摂取は十分十分だけど必須栄養素が不足している状態のことです。
野菜などの含まれるビタミンやミネラルは近年激減していると言われています。加えて加工食品に含まれる食品添加物などはミネラルを排出してしまうものもあり注意を要します。
日頃からバランスよく栄養素が摂取できていないと、酸化ストレスにうまく対応できなくなり細胞老化を早めてしまうことになります。
心血管系の疾患に加えてアレルギー疾患や自己免疫疾患、炎症性腸疾患などが若年者で多くなっている背景にはこれらの必須栄養素の不足も関係しているのではないかと考えています。
こうやって見て来たように、体のサビである「酸化ストレス」が、様々な病態の原因と考えら流ようになって来ました。その背景には現代人の慢性的な栄養失調によるところが大きいと思われます。
「酸化ストレス」や「栄養失調」が気になる方はお気軽にご相談ください。
(分子栄養学的総合スクリーニング検査も行なっています) Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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