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見過ごされがちな「亜鉛不足」
2019年1月 7日
昨年末にも書きましたが、様々な栄養素の中でも特に「亜鉛」の重要性が益々注目を集めています。
亜鉛は体内では300以上の酵素の構成成分であり、生体維持、健康増進に重要な酵素活性に関わっています。
その代謝動態については最近まで不明な部分が多かったのですが、日本人研究者の努力もあり、徐々に知見が広がっています。
亜鉛不足を疑う症状は、皮膚炎、脱毛症、食欲低下、口内炎、発達障害(体重増加不良、低身長)、性線機能低下、易感染性(風邪などひきやすい)、味覚障害、貧血、不妊症などですが、これは細胞老化に伴う症状とも非常に似ています。
亜鉛は強力な抗酸化物質SODの構成成分でもあることより、亜鉛不足は抗酸化力の低下を招き、細胞老化の主な原因である酸化ストレスの上昇を引き起こすと考えられています。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、亜鉛不足が深刻なケースが多いことも明らかになっており、治療の初期から亜鉛不足に対応することが望ましいと考えられるようになりました。
亜鉛不足が腸管バリア機能の要である「タイトジャンクション」と呼ばれる腸上皮細胞同士を結びつける構造物を脆弱にすることで、腸疾患のみならず全身の疾患を引き起こすことも最近の話題です。日本人の約20%は潜在的亜鉛欠乏
今の日本人の約20%は潜在的亜鉛欠乏とも言われていますが、亜鉛が少なくなる原因として主に下記が挙げられます。
- ファーストフードへの依存
20〜30代に亜鉛欠乏性味覚障害が少なくない
加工食品、ファーストフード、清涼飲料水は亜鉛含有量が少ない
食品添加物のフィチン酸、ポリリン酸が亜鉛の吸収を阻害する - 糖尿病
糖尿病患者では尿中への亜鉛排泄量が増加 - 薬剤性
降圧薬、利尿剤、抗生物質、抗菌薬、高脂血症薬、抗がん剤など
また、昔は亜鉛を含む人糞が肥料として使われ生活の中で循環していましたが、水洗トイレが普及したことで亜鉛などのミネラルが海に流れていってしまっていることも亜鉛不足の一因とも言われています。
亜鉛欠乏の診断基準は下記の通りです。
血液検査での血清亜鉛濃度は参考になりますが、日内変動があったり、直前の食事の影響を受けるため、本来は末梢組織における亜鉛レベルを知ることが望ましいと考えられます。
当院では、非侵襲的なミネラル重金属検査としてオリゴスキャン®︎を導入しており、約5分でルクセンブルクにあるデータベースと交信し、末梢組織中に含まれるミネラルのバランスや、有害な重金属の蓄積を解析します。血清中では比較的亜鉛不足が軽度の方でも、慢性の不調を訴えられている方ではオリゴスキャンで解析するとかなり不足しているケースもあり注意が必要です。
慢性の不調があり従来の治療でなかなかよくならないケースでは、亜鉛不足が絡んでいる可能性を考え対処することが重要です。
当院、JR芦屋駅から徒歩4分のルークス芦屋クリニック(内科・消化器内科・心療内科)で経験した症例では、長年の壊疽性膿皮症に伴う深掘れ潰瘍が亜鉛の投与で劇的に完全した例もあり、改めて亜鉛を含む微量栄養素の重要性を認識することとなりました。当院のニュースレターである「ルークスだより」の最新号でも亜鉛不足について取り上げました。
気になる症状のある方は一度ご相談ください。
- ファーストフードへの依存
Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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