- ルークス芦屋クリニック
内科・消化器内科・心療内科 - 初診の方へ
- 予約優先制 0797-23-6033
(受付時間 9:30~18:00)
クリニック | 特徴 | 診療案内 | 治療・検査 | ブログ |
-
Leaky Brain
2018年10月 1日
先日、Leaky Gutについて書きましたが、"Leaky Brain"はご存知でしょうか?
Leaky Gutが「腸漏れ」と訳することが多いのに対して、Leaky Brainは「脳漏れ」といったところでしょうか。本来脳にはBlood-Brain Barrier(BBB, 血液脳関門)と呼ばれるゲートがあり、血液と脳の組織液との間の物質交換をしています。ここでは通常選択的に物質交換が行われており、有害物質の取り込みは厳密に阻害されています。
しかし、グルテンの過剰摂取などにより腸の炎症に伴いLeaky Gutが発症すると、容易に有害な細菌や毒素が取り込まれてしまうこととなり、グリアジン(グルテンを形成するタンパクの一種)に対する自己抗体が形成されます。この自己抗体が交差反応を起こし、BBBのタイトジャンクションに対しても障害を起こすことが近年の研究でわかってきました。
つまり、本来BBBにより厳格にコントロールされるべき選択的な物質交換の機構が破壊され、容易に有害物質が脳に到達してしまう状態をLeaky Brainと呼び、近年Leaky Gutとの関連が注目されています。
Leaky Brainの主な症状として、頭痛、認知能の低下、自閉症、多発性硬化症、抑うつ症状、慢性疲労症状などがありますが、これらの症状のみでLeaky Brainがあるとは診断できないところが難しいところかとも思います。
検査としては、脳の障害が起こると上昇する「MMP9」と呼ばれる物質を血液で測定することが参考とな流とされていますが、まだ確立された検査とは言い切れません。
Leaky Gut以外にLeaky Brainの原因と考えられているものとして、- 全身性炎症
- 酸化ストレス
- 自己免疫疾患
- 慢性的な心理的ストレス
- 感染症
- 頭部外傷
- 食品添加物
- 睡眠障害
- アルコール過剰摂取
- 環境毒素や有害重金属
などが挙げられます。
IgG型食物過敏症が多くの食材に認められ、Leaky Gutの存在が疑われ、認知能の低下などを伴う場合はLeaky Brainの存在も伴うのかもしれません。
Leaky Brainに対する治療としてもまだ確立されたものはありませんが、結局のところLeaky Gutとほぼ同じと考えてよく、食事の見直し(GFCFなど)、食品添加物を避ける、環境毒素の暴露から回避、腸内環境改善、ストレスマネジメントといったところになります。
副腎疲労を患う方の中には、Brain Fogと呼ばれる頭がぼーっとするような症状や抑うつ症状を伴う方も多く、Leaky Gutのみならず、Leaky Brainを伴っているものと考えられます。
気になる症状があれば一度ご相談ください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
カテゴリ