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SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)について
2018年9月 6日
最近SIBOに関する問い合わせが増えています。
SIBOはまだ比較的新しい概念ですが、IBS(過敏性腸症候群)と診断されている人の中にはSIBOを合併してるケースも多く見られます。
もし気になる症状があれば、下記をご参照の上お問い合わせください。SIBOとは?
SIBO(小腸内細菌異常増殖症)は、様々な原因により小腸内に、細菌が異常増殖することで、腹部膨満感や腹痛、腹鳴、下痢や便秘などの消化器症状を起こす病態のことを指します。元来、小腸内は大腸内に比べて細菌の棲息数は非常に少なく、主に大腸内において私たちが食べたものを細菌が発酵させ、その際にガスを発生させますが、SIBOでは小腸内に棲息する細菌がガスを発生させるために、食事の後比較的早期から様々な不快感を生じさせる原因となります。
SIBOはまだ比較的新しい概念で、海外の調査では過敏性腸症候群(IBS)と診断されている人の中には、SIBOが60〜80%程度合併しているとされています。SIBOの原因 栄養素の不足 / アルコール / 抗生物質 / 腸管閉塞 / 化学療法 / 便秘 / クローン病 / 腸管蠕動低下 / 糖尿病 / 憩室症 / 腸管手術 / 低食物繊維 / 高脂質食 / 薬剤(制酸剤、ピル、ステロイド、麻薬) / 神経因性 / 短腸症候群 / ストレス / 糖質(過剰摂取) などが考えられています。
SIBOの症状 腹痛 / 腹部膨満感 / カンジダ・真菌の問題 / 便秘 / 下痢 / ガス(放屁) / 頭痛 / 逆流様症状 その他にもSIBOの存在を疑う症状として
- ニキビ、湿疹、酒さ
- アレルギー、慢性食物過敏症
- 口臭、歯周病
- ブレインフォグ(頭に霧がかかった様にボーッとする)
- 抑うつ症状、不安感
- 痩せにくい
- 疲労
- すぐに空腹感
- 易感染性
- 関節痛
- 嘔気・嘔吐
- 栄養不足
- 皮膚の赤み
- 陰部のかゆみ、滲出物
- 体重減少
などが挙げられます。
SIBOの診断 SIBOの診断には今のところ標準化されたガイドラインはありませんが、2017年に発表された論文において、米国消化器学会のコンセンサスグループは、「水素およびメタンに基づく呼気試験(SIBO検査)」に関して概ね合意をしています。 「水素およびメタンに基づく呼気試験(SIBO検査)」では、糖質(ラクツロースまたはグルコース)摂取後にSIBOで認められる小腸内での水素やメタンなどのガス(通常では小腸内でこれらのガスは認められない)を測定します。
当院でも「水素およびメタンに基づく呼気試験(SIBO検査)」を導入して、SIBOの診断に役立てています。
※SIBO検査ではカンジダなどの真菌の異常増殖は調べられません
→(尿中有機酸検査)
※SIBO検査ではリーキーガット症候群の有無は調べられません
→(IgG型食物過敏症)
※SIBO検査では具体的な腸内細菌の種類は調べられません
→(腸内フローラ検査、総合便検査)<SIBOの治療>
SIBOの大半は慢性、再発性です。下記の治療法を組み合わせ治療を進めていきます。抗生物質 SIBOの治療用抗生物質としてリファキシミンが広く欧米では使われています。特に下痢型SIBOでは効果が高いとされています。その他、ネオマイシンやメトロニダゾールなどの抗菌薬も併用されることもあります。 植物性抗菌薬 抗生物質で症状が改善しない場合や、自然療法を優先する場合などには植物性抗菌薬(ハーブ)を使う場合もあります。植物性抗菌薬は細菌だけでなく真菌(かび)にも効果があり、SIFO(小腸内真菌異常増殖症)にも対応できます。 プロバイオティクス/プレバイオティクス SIBOにおいてプロバイオティクスやプレバイオティクスは慎重に投与する必要があります。これらを摂取することでかえって小腸内の細菌が増殖し、症状の悪化を起こすことがあるからです。 食事療法 SIBOの治療とその後のフォローには食事療法が重要です。中でも低FODMAP療法と呼ばれる発酵性の糖質を減らした食事が推奨されています。現在日本の研究チームが日本人に適した低FODMAP療法に関して研究を進めています。
その他、栄養素が消化吸収しやすい形に加工されている成分栄養剤なども使う場合もございます。心理療法 SIBOの病因は腸内細菌の乱れですが、「脳腸相関」と言われるように、私たちがストレスを感じていると腸の蠕動や知覚に異常をきたすケースがあります。心理療法も併用して行くことでより治療効果が高くなることが期待できます。 腸内フローラ移植(糞便細菌叢移植) SIBOに対する腸内フローラ移植に関する論文での報告数はまだ少なく、賛否両論あるところですが、腸内フローラ移植をすることで、大腸のみならず小腸内の細菌の種類、バランスも変化すると考えらており、他の治療がなかなか効果が出ない場合などの治療の選択肢と考えられます。 もし気になる症状があればご相談ください
Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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