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胃酸は重要
2018年3月10日
某病院の消化器科で外来をしていた頃、PPI(胃酸を抑える薬)を1日に何人にも処方していた。
確かに胸焼けをはじめとする消化器の諸症状には効果は絶大。
患者さんからのフィードバックでもなかなかいい評価なのでついつい処方しがち。
原因がはっきりしない消化器不定愁訴の場合も「とりあえず」PPIみたいなところがあった。
PPIはかなり優れもので、胃酸を抑えると謳っているだけあって本当にしっかりと胃酸を抑えてくれる。
私自身も一時期PPIをちょくちょく飲んでいた時期もあった。
(結構お世話になった)
特に胃酸が出すぎて不調になっている場合にはもってこいの薬剤だ。
ただし「胃酸がですぎている」場合には。
そもそも実際に胃酸がですぎて不調になっている人はどのくらいいるのか。
そもそも胃酸は何のために分泌されるのか。
日本人の胃は、もともと欧米人に比べて胃酸の分泌量は少ないが、食の欧米化に伴い胃酸の分泌量は増えてきたと言われている。
それでもまだまだ胃酸が少ない人が多いなというのが最近の診療を通しての印象だ。
慢性の消化器症状を抱えている人の中には、むしろ胃酸減少に伴う不定愁訴の人も結構いる。
貧血、慢性疲労でアドレナリンが過剰気味な人は胃酸分泌は少なくなる傾向がある。
胃酸が少ないと食事の消化が不十分となり、必要なミネラルなどの栄養素が不足しがち。
また、酸による殺菌能力が低下するために小腸内の最近の異常増殖(SIBO)を伴うこともあり、PPIを長期に内服しており、腹部の不定愁訴があれば一度はSIBOを疑ってみるべきだ。
私自身PPIの効果に大きな恩恵を受けた。
しかし、それに頼りすぎることにはこれからは警鐘を鳴らしたい。
PPIの長期投与が胃がんや認知症のリスクを上げるという最近の研究もある。
長期の投与にはよほど慎重になりたいものだ。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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