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センテナリアンに学ぶ腸の大切さ
2018年3月23日
皆さんは「センテナリアン」という言葉をご存知でしょうか。
「世紀」という英単語の「Century」から来た言葉で、「100歳を超えても元気な人たち」のことを「センテナリアン」と呼びます。
近年センテナリアンの研究が進み、長寿の人たちの生物学的特徴がわかって来ました。その特徴とは
① 体内の慢性炎症が少ない(腸内環境、食事が重要)。
② 適度に体を動かす習慣がある。
③ 「生きがい」を持っている。人の「役に立っている」という満足感が高い。
ということだそうです。
(これは当院で行なっている「栄養」「運動」「心理」の3本柱と全く一緒ですね)今回はこの①についてです。
食や腸内環境がいかに体内の慢性炎症と関連するのでしょうか?
腸内環境を左右する最大の要因で、最近特に注目を浴びている「腸内細菌」の存在は大変重要です。
1000種類以上100兆個以上も存在すると言われる腸内細菌のバランスが乱れる(dysbiosis)と、いわゆる悪玉菌が増え、これらの悪玉菌が出す毒素(endotoxin)が腸粘膜上皮細胞を傷害します。
これが進行するといわゆるリーキーガットと呼ばれる状態になり、腸の大切な機能の一つである「バリア機能」が低下します。
バリア機能が低下すると、悪玉菌の出す毒素だけでなく、悪玉菌の菌体そのものも容易に腸のバリアをくぐり抜け体内に取り込まれてしまいます。
腸から取り込まれた毒素は直接各組織に運ばれたり、免疫担当細胞を刺激し炎症関連物質を産生させたりすることで全身の炎症の原因となります。近年の研究で、腸内細菌の出す毒素が、関節リウマチを発症させたマウスの関節の組織から確認されました。このことより腸の炎症が他臓器で起こる炎症の誘因となっていることがわかります。
また、ある種の腸内細菌は、腸に密に備わったリンパ組織に働きかけ、リンパ球の教育を行います。これを経ることでリンパ球は自分にとって必要なものと不要なものを区別するようになります。
しかしdysbiosisがあると、この教育がうまく行われないため、制御性T細胞(Treg)と呼ばれる免疫を調整するリンパ球がうまく誘導されず、免疫のバランスが悪くなり、自己免疫疾患やがんなど免疫の関係する疾患に深く関わっていると考えられています。
センテナリアンたちは、地元で採れた旬の食材をバランスよく取ることもあり、腸内細菌叢の多様性が高く、細菌叢のバランスも良い人が多いようです。
私たちもセンテナリアンから学び、腸内環境を健全に保ちたいものですね。
JR芦屋駅から徒歩4分のルークス芦屋クリニック(内科・消化器内科・心療内科)でも腸内環境改善に取り組んでいます。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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