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やっぱり腸。(久しぶりの長文)
2017年12月10日
先日、久しぶりに高校時代の友人に会ったときのこと。
お互い近況報告をするなかで、私は腸内環境の仕事をしている話をしたところ、友人からこう言われました。「昔からお前、お腹弱かったもんな。」
どうやら友人達の間でも中高時代の私は「お腹の弱いやつ」という印象があり、何か事あるごとにすぐにトイレに行ってたことを思い出したようです。
確かに振り返ってみると、それも無理ないかもしれません。
4歳の時、父が家族をアメリカ旅行に連れて行ってくれた時のこと。
カリフォルニアのフルーツが余りにも美味しくて思わず少しだけ食べ過ぎたら、たちまち下痢、嘔吐。
楽しみにしていたディズニーランドには行けず、兄、姉が嬉しそうに出かけて行くのを恨めしく父とホテルの部屋で見送っていました。(今でもトラウマ。。。)
中学に入り、定期試験になると決まって朝からトイレが近くなり、「これってきっとストレスと関係あるよね」と何となく感じていました。(きっと過敏性腸症候群 IBS)
大学では、友人達と学食で昼食をとったあとの団欒の途中で、決まって「ちょっと、、、」と席を立ち、トイレに寄ってから午後の授業で友人達と合流をするのが日課のようでした。(やっぱりIBS)
どう考えてもお腹は丈夫な方ではありませんでしたね。
私たちの幼少時と言えば、日本経済は高度成長期を迎え、国民の生活にもどんどん新しいライフスタイルが取り入れられて行く時代でした。
医療の分野でも、診断、治療技術が格段に向上し、それまで克服が難しいとされた病にも対処できるようになり、ますます西洋医学が脚光を浴びるようになります。
特に抗生物質は細菌感染症に対しては絶大な効果を示し、きっと誰もが近い将来、近代医学が全ての病気を克服するに違いないという希望を抱いたことでしょう。
そんな時代に地域医療の最前線で医師をしていた私の父にとって、患者が感染症にかかったときに抗生剤を投与するということは至極当然の行為でしたし、実際そうやって救われた命は多かったのです。
ですから家族が何かしらの細菌感染症を疑わせる症状がある場合にも、まずは抗生物質を投与する場合が多く、もちろん私もしばしば抗生物質の恩恵にあずかりました。特に兄弟の中でも比較的体の弱かった私は兄や姉よりも医療に助けられることが多かったと思います。
そんな私は幼少時からお腹にトラブルを抱えやすく、何かあればすぐに熱を出したり下痢をしたりしていました。
そして感染症が疑われれば当たり前のように抗生物質を飲みました。しかしきっとこれは腸内環境にとっては少なからずダメージを与えていたことでしょう。
今になって思うと、卵が先か鶏が先か論ではありますが、体が弱かったからこそ医療を受ける機会が多かったし、医療を受ける機会が多かったからこそ体が弱かったと言えるかもしれませんね。
そんな私が腸の大病を患い、それに伴うお腹以外の様々な不調も経験し、医師でありながら自身の病をなかなかコントロールできないもどかしさを経験し、そして患者としての視点で、今まで自分が身を置いていた医療の世界を見ることとなります。
すると今までとは違った気づきや疑問が見えてきます。
確かに現代医療の恩恵は大きい。しかし、視野を広めるとその効果は非常に限定的であり、むしろ無力と思える場面も結構ある。今一度医療の功罪を考える時期なのではないか。様々な体のトラブルの解決方法をあまりにもすぐに医療に求めてこなかったか?
増加する慢性疾患に対して、対症療法が中心の従来の医療の考え方だけでなく、出来るだけ根本療法を意識したアプローチがより重要ではないか?
疾患が発症してからではなく、予防医学の重要性が蔑ろにされていないか?
何より細胞が喜ぶ環境作りのために大切な栄養についての知識が、医療従事者、中でも特に医師において不足していないか?(医学部では栄養学のカリキュラムはない)
根本治療を目指す上で、身体中心の治療体系から心身相関の概念を取り入れた治療体系を充実させる必要があるのではないか?
自らの体験より、胃腸の不具合は他の様々な不調と深く結びついているが、それら様々な不調の解決には栄養療法は欠かせないのではないか?
栄養療法を効率よく行うためにも腸内環境を整えることが今後ますます重要になるのではないか?
などなど。
そしてたどり着いたのが、「腸内環境を整えて、より効果的な栄養療法や心理療法、運動療法を通して全人的な医療の実践」でした。
意図してこうなったというより、気がついたらいつのまにか腸内環境に関する仕事をしていたという感じですが、振り返るとこうなるべくして導かれて行ったとも言えます。
病を通して自分と向き合う機会が増え、自分への水やりを意識的に行っているとこんなところにたどりつきました。
まさに病はメッセージなのです。(サイモントン博士の言うところの「内なる叡智」)
私の場合は特に腸に教えられることが多く、最後にはやっぱり腸の言うことには従うべきだなと思っています。
(英語でGut feeling : 「腸の感覚」といえば直感の事です)
まあ、まだこれからもどんどん変化して行くつもりですが。
今後もお腹の病を体験した一消化器内科医として皆さんのお役に立てれば、私のお腹にとっても喜ばしい事かと思ってます。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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