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SIBO(小腸内細菌異常増殖症)について
2017年11月18日
みなさんSIBO
(シーボ:Small Intestinal Bacterial Overgrowth 小腸内細菌異常増殖症)
という言葉を聞いたことはありますか?
SIBOは比較的新しい疾患概念で本来大腸に比べて細菌の少ない小腸内で細菌が異常増殖したことによる様々な不快な症状をまとめてSIBOと呼びます。【SIBOの症状】
- お腹にガスがたまる
- 放屁が多い
- 腹痛、差込み(疝痛)
- 便秘、下痢、脂肪便
- 吐き気、胸焼け
- 体重の減少
- 食物アレルギー
- 関節痛
- 慢性疲労
- 肌のトラブル
- うつ、パニック症状
などがあります。
(イメージはhttps://drbeckycampbell.com/the-sibo-and-the-thyroid-connection/より拝借)
過敏性腸症候群(IBS)は比較的認知された疾患ですが、アメリカの調査では実にIBS患者の60%にSIBOを認めたと言いますから意外と多くの方がSIBOに悩まされていると考えられています。
慢性的な腹部の不調がある方でIBSと診断され、IBSの治療を受けてもなかなかよくならない場合はSIBOを疑ってみる必要があります。【SIBOを起こす原因】
- 胃酸分泌低下
- 小腸蠕動異常
- 回盲弁機能異常
- 抗生物質
- 制酸剤
- ステロイド
- 腹部手術の既往
- リーキーガット
- カンジダ異常増殖(この場合SIFO:Small Intestinal Fungal Overgrowthと呼ばれる)
などが考えられています。
さらにSIBOが逆流性食道炎の原因にもなることもあり、
胸焼けに対して制酸剤が無効な時もSIBOを疑ってみましょう。
ごぼうや海藻など食物繊維が豊富なものやオリゴ糖や乳酸菌は本来腸内環境に良いとされていますが、これらを摂取すると、かえってお腹が張ってしまい苦しいという場合もSIBOの可能性があります。
しかしこのSIBOですが、残念ながら日本ではまだまだ認知度が低く、専門医でもまだこの言葉を聞いたことのない方もいらっしゃいます。
ですから、お腹の調子が悪くてSIBOかな?と思った方は「SIBOの治療をしてください」と訴えても、取り合ってもらえないこともあるので要注意です。SIBOの検査 呼気中の水素とメタンの濃度比を見てメタンが増えている場合SIBOを疑うという「水素&メタン呼気分析」がありますが日本国内で実際に行なっている施設は少なく主に臨床症状や、他の検査(遅延型フードアレルギー検査や総合便検査、尿中有機酸検査など)と組み合わせて総合的に判断していきます。
(当院ではSIBO検査を導入しました)SIBOの治療 欧米では「リファキシミン」と呼ばれる抗生剤が使われていますが、現在日本では保険適応外となります。
リファキシミンは抗生剤の一種ですから、
異常増殖した細菌を減少させるのに役立ちますが、かえって腸内細菌のバランスを乱すことにもなり再発率も高いと言われています。
症状の強い時にリファキシミンを使うことも可能ですが、菌交代のことも考慮しできるだけ短期にとどめておくべきでしょう。
当院ではGFCF(グルテンフリー(小麦抜き)、カゼインフリー(乳製品抜き)の食事療法)のほか、低FODMAP療法(「短鎖炭水化物」と呼ばれる腸で発酵しやすい、オリゴ糖、2糖類、単糖類、ポリオールを減らした食事療法)もSIBO対策として指導に取り入れています。
また、真菌を抑える効果のあるプロバイオティクス、消化酵素などを組み合わせ、さらにミトコンドリア機能の回復を目指してミネラルやビタミン、カルニチンなどのサプリメントを使います。
その中でも食事が占める割合は大きいと考えています。
さらに、これから期待されている治療として「腸内フローラ移植」がありますが、
当院の移植関連施設での経験から推測すると過敏性腸症候群の方がフローラ移植で改善が認められた方が90%とのことですから、この中に60%程度の(診断に至っていない)SIBOの方がいると考えるならば多くのSIBOの方にも有効な治療とみることができます。副腎疲労とSIBOの関連 腸内環境が乱れ、バリア機能が破綻すると様々な細菌から発生する毒素や重金属などが体内に取り込まれてしまいます。
これらの毒素は体の様々な組織や臓器で「慢性炎症」の原因となります。
副腎から分泌されるコルチゾールは、その強力な抗炎症作用で、体内の炎症を抑制しますが、慢性的な炎症がある場合、副腎の疲労を起こし、コルチゾールが枯渇することとなります。ですからSIBOと副腎疲労は頻度は不明ながらも多くのケースで合併しているものと考えています。
いずれの病態も一般診療の現場では「心の病気」と扱われて心療内科を紹介されるケースも少なくありません。
腹部の慢性的な不調や全身の疲労など何か気になる症状がございましたら一度ご相談くださいね。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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