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腸内細菌と水素
2017年11月 9日
今回は今話題のトピック
「腸内細菌」と「水素」の関連についてです。私たちの消化管に生息する腸内細菌のうちのいくつかの細菌は、「嫌気性発酵」と呼ばれるプロセスで大量の水素を産生しています。
(その量については論文によりまちまちで150ml~12リットルまでと大きな幅があります。)
腸内で発生する水素ガスは腸管の蠕動運動に関与しており、メタンガスを産生する細菌が多い人では蠕動運動は遅く、水素ガスを産生する菌が多い人では蠕動運動は早いことがわかっています。
また、腸内細菌を抗菌薬で除去した場合は、最近由来の水素ガスによる抗炎症作用が消去されるため薬剤性肝障害が急激に悪化するのに対して除去しない場合には肝機能の改善を認めたという論文もあります。
さらに、腸内細菌を遺伝子操作で水素を産生できないようにして、腸内細菌から産生される水素と、水素水を飲んだ時の効果を調べた研究があります。
腸内細菌からの水素も炎症を抑制する効果がありますが、水素水を飲ませた方が、炎症を抑制する効果は強いということも明らかになりました。
ScienceDirect≫先日参加した分子状水素医学生物学会では、分子状水素の状態・形態や容存方法、投与方法などが、水素の持つ抗炎症作用、抗酸化作用に大きく影響を与えるようだとされていました。
この分野はまだまだ未知の領域で、日々研究結果がアップデートされていますが、近年の水素に関する論文数は急激に増えていることからも水素にはますます注目が集まりそうです。
「腸内細菌」と「水素」
当院もこれからも注目していきたいと思っています。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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