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侮れない「マイコプラズマ」持続感染症
2017年10月 4日
少し涼しくなって、みなさん風邪を引いたりしていませんか?
一般的に「風邪」と診断される症状の多くは「ウイルス」が原因ですが、中には「マイコプラズマ」による感染症のこともあり、咳や発熱が長引く場合はマイコプラズマも鑑別しておく必要があります。マイコプラズマは気管支炎や肺炎の原因になることはよく知られており、マイコプラズマが疑われた場合はマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生剤が使われます。(飲むと結構な頻度で下痢をします。腸内環境に影響がある証拠です)
ここまではいわゆるマイコプラズマの「急性感染症」に関してなんですが、今日のテーマはマイコプラズマの「慢性持続感染症」です。
実はマイコプラズマはよく知られている気管支炎や肺炎以外に様々な症状を引き起こすことが知られるようになってきました。
例えば、
髄膜炎・脳炎・関節炎・神経炎・腎炎・膵炎・皮膚炎など肺以外にも全身いろいろな症状を引き起こします。
その他にも、血管炎、心筋炎・心外膜炎、腎炎、尿道炎、中耳炎、鼓膜炎、多形紅斑、ステーブンス・ジョ ンソン症候群、髄膜炎、脳炎、多発神経炎、寒冷凝集素症、 血小板減少症など、一見「感染症」とは関連のなさそうな症状も含まれ、多彩な病変を起こします。
これら 症状が、長引いたり、繰り返したりしながら、長期化・慢性化していくことがあります。
慢性疲労症候群、関節リウマチ、膠原病、喘息などはその前兆の可能性があります。
しかしながらこのマイコプラズマを確定診断するために行われている従来の「抗体測定法検査」には限界があり、急性期の抗体が高い時にしか反応しないという欠点がありました。
特に慢性持続感染の例ではまず「抗体測定法」では検出されることはありません。
そこで最近注目され始めたのが「マイコプラズマ脂質抗原抗体検査」です。
この検査は感度や特異性が高く、定量性に優れており、精度の高い経過観察マーカーとし て使用可能です。
さらに、定量的なこの抗体測定法は、疾患の活動性の指標となり急性期だけでなく慢性期の病態の変化を把握する事ができます。
実際に松田和洋先生を中心に識見のある先生方が、この方法でマイコプラズマの持続感染を診断し、治療を始めたことで症状が改善した関節リウマチ、線維筋痛症、慢性疲労症候群、咳喘息などの方が多くいらっしゃいます。
私が今注目している
「慢性上咽頭炎」
もマイコプラズマの感染が関係しているケースがかなりあることもわかってきました。
いわゆる難病の根本治療を目指しながら診ていく上で、なかなか改善しない症状がある場合は、マイコプラズマの持続感染が関係しているかもしれませんね。
当院では、マイコプラズマ脂質抗原抗体検査が実施できるように準備をしています。(2017年10月現在、まだ当院では検査できませんので悪しからず)
何か気になる症状があればご相談ください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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