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起立性調節障害(OD)と副腎疲労
2017年6月17日
ここ最近、多くの方から起立性調節障害についての質問を頂く機会があり、ここでも触れてみたいと思います。
7月の院内セミナーでは
「副腎疲労」
について取り上げますが、これとよく似た症状を呈する疾患の一つに
「起立性調節障害(OD)」
があります。いずれも
・朝寝起きが悪い
・疲れやすい
・午後の方が調子が良くなる
・立ちくらみ
などの症状を伴います。
本来、私たちの体はストレスが加わった時に内分泌系、自律神経系、免疫系の調節システムがバランスをとることで恒常性を保つことができるとされています。このうち内分泌系では副腎からコルチゾールと呼ばれる抗ストレスホルモンを分泌することでストレスに対処することができます。
コルチゾールには抗ストレス作用の他に血糖調節作用や脂肪分解促進作用、抗炎症作用などがあります。
ただし、コルチゾールの分泌は短期間のストレスには対応できますが、長期のストレスや、複数のストレスが一度にかかった時には、対処しきれなくなりいわゆる「副腎疲労」の状態となります。
「副腎疲労」の状態では例えば慢性炎症が体内に存在してもコルチゾール本来の作用である抗炎症作用が低下するため炎症がくすぶることとなります。
次に自律神経系ではストレスに対して、交感神経を優位にさせることによりアドレナリンを放出します。
このアドレナリンの作用により血圧を上げ、脈拍をあげ、そして血糖を上げます。
この反応のおかげで私たちの先祖は、狩りでもうまく収穫ができたり、危険を回避したりすることができたのでしょう。そこにストレスが持続したり、大きなストレスが一度に加わる場合は自律神経の失調を起こすようになり、その一症状が起立性調節障害と考えられています。
これら自律神経系や内分泌系がそれぞれ単独で働くことはなく、どのような状況においてもストレス下では相互作用を及ぼしながら調節していると考える方が自然です。
と考えると
副腎疲労も起立性調節障害も同時に共存するケースが多くあります。
ですから起立性調節障害と診断された場合も副腎疲労がベースにあると考えた上で、副腎のケアを念頭に置いた食事療法や場合によってはサプリメントなども効果が期待できると思います。
副腎疲労の側面から見た場合、栄養からのアプローチを重視しますから起立性調節障害の場合も副腎疲労に準じた栄養療法によるアプローチが望ましいと思われます。
特に思春期には学校生活でも求められるものが多くなり、もともとストレス耐性の低いお子さんでは副腎疲労や起立性調節障害の症状が出やすく栄養面だけでなく、心理面、身体面(運動など)からのアプローチも必要な場合も少なくありません。
気になる症状があればご相談ください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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