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必須ミネラル「亜鉛」のチカラ

2017年4月 7日

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私たちの体内で、「亜鉛:Zn」を必要とする酵素は300以上あります。

ALP(アルカリフォスファターゼ)
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)
DNAポリメラーゼ
LDH(乳酸脱水素酵素)
などが代表的なものですが、そのほかに、インスリン合成や膵β細胞からのインスリン放出にも関係しています。

また、亜鉛欠乏ではレチノール結合蛋白合成が低下し、血清ビタミンA値が低下します。
さらに蛋白合成全般に亜鉛は必要不可欠です。

食事中の亜鉛は主に十二指腸、空腸で吸収されますが、吸収過程で銅と拮抗することが知られています。
また玄米に含まれるフィチン酸も亜鉛の吸収を阻害します。

腸より吸収された亜鉛は血中に入り、肝臓や腎臓に運ばれた亜鉛は細胞内で「メタロチオネイン」と結合して細胞内恒常性を保ちます。

日本人では、平均摂取量は、推奨摂取量に比べてやや少なく、摂取不足気味であると言われています。
特に妊婦、授乳婦の摂取量は著しく少なくなっています。


「亜鉛欠乏の症状」
亜鉛欠乏による症状としては
1、皮膚炎、脱毛
2、貧血
3、味覚障害
4、発育障害
5、性線機能不全
6、食欲低下
7、下痢
8、骨粗しょう症
9、創傷治癒遅延
10、易感染症
などです。
栄養療法の現場では亜鉛欠乏が示唆される症状のある方は少なくありません。

その原因としては

  • 摂取不足
    低栄養、高齢者、動物性蛋白の少ない食事

  • 吸収不全
    肝障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、フィチン酸摂取

  • 需要増大
    妊娠

  • 排泄増加
    糖尿病、薬剤性、透析

  • その他
    スポーツによる汗への喪失

などですが、複合的に要因が重なり合い、亜鉛をサプリメントなどで補充しただけでは改善しないケースも少なくありません。

日本臨床栄養学会のミネラル栄養部会がまとめた「亜鉛欠乏症の診療指針」では「亜鉛欠乏症」の診断基準として、
1、下記の症状・検査所見のうち1項目以上を満たす
1)臨床症状・所見 皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡(難治性)、食欲低下(小児で体重増加不良、低身長)、性線機能不全、易感染性、味覚異常、貧血、不妊症
2)検査所見 血清アルカリフォスファターゼ(ALP)低値

2、上記症状の原因となる他の疾患が否定される

3、血清亜鉛値 
3−1 60μg/dL未満:亜鉛欠乏症
3−2 60-80μg/dL未満:潜在性亜鉛欠乏
血清亜鉛は、早朝空腹時に測定することが望ましい

4、亜鉛を補充することにより症状が改善するとしていますが、実際の臨床の現場では、亜鉛欠乏が疑われる臨床症状を呈していても、様々な要因(例えば溶血など)により臨床データがマスクされて、実際より高く表されることもあり注意が必要です。

また、亜鉛吸収に重要な役割を果たす胃酸の分泌が少なく小腸での亜鉛吸収が阻害されていると思われるケースは意外と多く、この場合、胃内のpHを下げる工夫や腸内環境を整えていくことを優先的に行うことで亜鉛吸収率アップが期待できます。

胃腸の環境が改善し亜鉛の吸収率が上がるとうつが改善したり、慢性の皮膚炎が改善したり、免疫機能が向上したりとその亜鉛の役割を考えると当たり前なのですが、改善が期待できます。

逆に、慢性の不調をお抱えの場合亜鉛を含むミネラルバランスが崩れているケースが少なくありませんから気になる症状のある場合はぜひ一度ご相談ください。

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