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慢性炎症とがん
2016年12月25日
C型慢性肝炎やH.ピロリ菌感染性胃炎、潰瘍性大腸炎など「慢性の炎症」を伴う疾患は、「がん」との関連があることが経験的にあることが古くから知られていました。
【「炎症」はいわば身体の中に起こった「火事」のようなもの】
風邪を引いた時、喉が痛かったり、発熱したり、鼻水が止まらなかったり。あるいは、切り傷の周辺が赤く腫れてズキズキ痛む。。。これらは炎症の中でも「急性炎症」の例です。これら急性炎症はウイルスや細菌などの外敵の侵入に対して一時的な身体がそれらを排除しようとする正常な反応と言えます。
それに対して「慢性炎症」は、急性炎症に比べて自覚症状に乏しい場合が多く、字のごとく慢性的に持続する炎症ですが、ちょうど慢性的にくすぶる「火事」のようなもので、細胞レベルでは確実にダメージを及ぼしています。
リウマチによる関節炎や気管支喘息、ウイルス性慢性肝炎、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎のほか、動脈硬化も血管壁細胞の慢性炎症によるものです。慢性的に経過するとリウマチの指の変形などのように局所の組織傷害を及ぼすようになります。
最近の研究では、多くの疾患が「炎症」と関連していることが示唆されています。これら慢性炎症は必ずしもウイルスや細菌によるものだけではなく、自己免疫や毒素の暴露によるもの、外傷によるもの、などがあることがわかってきました。「肥満」や「メタボリックシンドローム」も「炎症」の深い関係が深いことも解明されつつあります。【慢性炎症とがん】
慢性炎症は、炎症のもとになる刺激があり、それを免疫応答(免疫反応により炎症を抑え込む働き)で解除できない状態と考えられます。炎症を起こした患部ではTNF- α(炎症性サイトカインと呼ばれる物質の一つ)が放出されています。さらに、TNF-αにより活性化される増殖因子によって細胞分裂が促進されます。そのなかでさらに遺伝子に変異を起こすものが現れ、その一部ががん細胞へと姿を変えて腫瘍へと成長していくことになります。
【慢性炎症と酸化ストレス、糖化ストレス】
老化の主な原因といえば、紫外線や活性酸素による「酸化ストレス」や、糖とたんぱく質が結びつくことによる「糖化ストレス」がよく知られています。両者とも、「慢性炎症」と深い関係があります。
「酸化ストレス」が増大すると、細胞膜やミトコンドリア、DNAなどがダメージを受け、炎症の原因となります。
一方、「糖化ストレス」も炎症にかかわる炎症性サイトカインを活性化させます。
私たちの身体には、こうしたストレスに対抗する力が備わっていますが、偏った食事や過労、運動不足、環境毒素、加齢などにより、炎症による細胞ダメージを修復したり、ストレスを軽減させる力も衰えてきます。つまり、常に小さな火事を抱えている状態。これが「慢性炎症」なのです。【慢性炎症を抑えるには?】
現代人の多くは「炎症」を起こしやすいライフスタイルと言われています。
それを改善するのに最も大切なものは「食事」ですが、今回はこの辺で。
いずれも「酸化ストレス」や「糖化ストレス」を減らし、必要な栄養素を取り込み、有害金属などの毒素の排除(デトックス)を促進させることが重要です。
当院ではいずれも非侵襲的に測定することが可能です。
次回改めて食事やライフスタイルについて書きたいと思います。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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