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酸化ストレスマーカー「8-OHdG」について
2016年12月19日
リンゴを切って放置しておくと茶色く変色しますが、これは酸素による「酸化」ということは多くの方がご存知のことでしょう。
活性酸素種:ROS(Reactive Oxygen Species)は酸素分子由来の分子種ですが、大変不安定で反応性に富み、酸化ストレス、細胞障害や癌化の原因となります。
私たちの体もリンゴと同じように常にROSによる酸化反応のリスクにさらされています。しかし体内で抗酸化物質を産生したり、体外から取り入れたりしてROSを消去することで体が酸化することを防いでいます。
一方では生体はROSをうまく利用し、食細胞などではROSの高い反応性を利用して殺菌を行なっています。
遺伝子であるDNA分子は、デオキシリボース(五炭糖)、リン酸、塩基から構成されている4種類のヌクレオチドからなるポリヌクレオチドが相補的に形成する二重らせん構造を取っています。
DNAの塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類からなりますが、中でもグアニン(G)は4塩基中最も酸化還元電位が低いことから、ROSによる酸化修飾を非常に受けやすくなっています。
(イメージは大里研究所HPより)
8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)は、グアニンが酸化修飾された際に生成される酸化損傷塩基の一つで、現在最もよく使われる酸化損傷マーカーです。
酸化ストレスのマーカーとして8-OHdGは、環境因子や職業的な化学物質暴露による上昇が多数報告されています。喫煙により尿中8-OHdGが上昇することも認められ、喫煙による発がんに酸化ストレスが関与していることが示されています。
そのほか、アスベストやシックハウスにも関連するキシレン、トルエンに加え、最近では微小粒子状物質PM2.5やカーボンナノチューブによる8-OHdGの上昇も動物実験で示されています。
当院では、尿中の8-OHdGを測定し治療に役立てています。この数値が高値の場合は酸化ストレスを高める要因(タバコや添加物などの化学物質、環境毒素や生物毒素のほか心理的なストレスなども。。。)を可能な限り除去できるようなライフスタイルを提案いたします。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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