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積極思考と健全思考
2016年11月 4日
「心身一如」の考え方は、心と体は切り離して考えられないということが基本です。
例えば「心を前向きに持てば、病気もよくなる」ということなのですが、しかしここでよく陥りがちな過ちがあるので注意が必要です。
心理系のセミナーなどでは「積極思考」や「ポジティブ・シンキング」がもてはやされたりします。ネガティブなことに直面してもポジティブに捉えれば全てがうまくいくという考え方です。
これらの「積極思考」や「ポジティブ・シンキング」が機能する場面は確かにあります。しかし現実とあまりにもかけ離れすぎた積極思考やポジティブ・シンキングは理性がそのギャップを埋めきれず、結局その信念をうまく獲得できないという側面があります。
つまり、仮にあなたが癌の末期、ステージ4であると診断されたとしましょう。医学的、統計学的に見て5年生きられる確率が1%以下とします。ここで積極思考で「5年後、必ず私は健康を取り戻している!!」という信念を獲得しようとしても、「いやいや、そんなはずないだろ。。。だって1%だよ。。。有りえないよ。。。」という現実的な思考がその獲得を邪魔してしまうことになります。つまり、もう少し現実も見据えた信念の方が獲得しやすいということです。
ではどうすれば良いか。
それが「健全思考」なのです。(その逆は「不健全思考」)
「健全思考」は「積極思考」に比べて地に足のついた、現実も見据えた安定感のある思考です。
例えば、上記の例で言うならば、統計学的な数字があったとしても、実際あなたが5年後に生きているかどうかは誰にもわからないわけです。ですから「5年後、私が健康を取り戻している可能性はある」と言うことになります。つまり、その可能性は決してゼロではないし、何よりあなたは統計学に左右される必要もないわけです。
付け加えるならば、「これから私は変化を起こす」ことも可能だし、「その変化によって、病気の経過も良くなる可能性」もあるわけです。もちろん悪くなる可能性もあるのですが、ここで大事なことは、悪くなる可能性だけでなく、ちゃんと「良くなる」可能性もあるとこにフォーカスすることなのです。
つい私たちはメガティブな要素に目が行きがちです。これは危険を回避すると言う本能的な部分によるところが大きいいのですが、しっかりとポジティブな側面にも目を向け、その可能性があることを見ることがとても重要なのです。
ですから先ほどの例での「健全思考」は
「私が5年後に死を迎えているとは限らない。私はこれから私らしい人生を取り戻し、そして大きな変化を起こし、健康を取り戻すことは可能だ。」と言うようなことになります。さらに加えるならば「これまでより健全な生き方をしている」可能性だってあるわけです。
この「可能性」があることにフォーカスし始めると、しっかりこの可能性が大きく見えてきます。これに繋がるイメージが広がります。もし健康を取り戻したなら、私の好きな海外に旅行に行けているかも、、とかですね。
このイメージが強力な癒しの力を引き出してくれるのです。
このイメージが健全な自分を引き寄せてくれるのです。
やはり私たちは心身一如なのですよね。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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