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傷ついた治療者
2016年6月19日
ギリシア時代以来繰り返し言われてきた言葉に「傷ついた治療者(Wounded Therapist)のみが癒すことができる」
があります。
この言葉は現代でも決して色褪せることなく十分通じるものです。
ユング派の分析家であるGuggenbuhl-Craigは、全ての人が「健康ー病気」という元型を持っていると言います。
医者であるなしに関わらず、全ての人の中に「健康」と「病気」の可能性を併せ持っているはずですが、昨今の治療現場でよく見られる光景に、あたかも医者が自分の内的な傷や病気になる可能性を見ることができず、患者という他人の中にのみ病気を見るというものがあります。
この場合、医者は病気を客観化することで自分の弱さや傷からは距離を置き、高いところから患者を見下ろすという構図が生まれます。
本来治療の場面では、患者は「内的な治療者(Inner Therapist)」を医者に投影し、逆に医者は患者に(無意識に)自分自身の傷を患者に投影します。つまり、医者は患者の中に、自分の中にもある弱い部分、傷ついた部分を見出し、患者は医者の中に、自らにも備わる治療者としての部分を見出します。
ここで医者自身に自分の内的な傷の存在を自覚することができれば、患者の中に自ずと「内的な治療者」が育ち、より治療的な関係性が生まれます。
しかし、医者がこれに無自覚で自らの傷ついた部分を認めず、常に客観性の中にのみ関係性を求めれば、患者のなかにねむる「内なる治療者」が活性化しにくくなり、より「治療者」ー「患者」の関係性が固定化されてしまいます。
しかし、傷ついた治療者というのは決して安易に患者と同一化した者を指すわけではありません。患者とは適度な距離感をもちつつ、自らの弱さや傷と向き合い折り合いをつけた者と言えるかも知れません。
元気なことは大切ですが、「元気すぎる」自らの傷に無自覚な治療者は一見魅力的ですが、患者側の「治療者的な部分」を育むには不向きかもしれません。
あなたの主治医はどのタイプでしょうか。あなたの「内なる治療者」は眠ったままではありませんか。
当院では、あなたの中にねむる「内なる治療者」がうまく育つようにサポートしていきます。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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