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Dysbiosis(腸内毒素症)③

2016年6月25日

前回までは、従来の検査ではなかなか診断のつきにくい症状が増えていると書きました。

しかし、これまでにもなかなか診断のつきにくい方はいらっしゃいました。例えば腹部膨満感や胃酸の逆流症状、ガスが多かったり、お腹がゴロゴロしたり、時には差し込む痛みが周期的に起こるというような場合でも、従来の検査(血液検査の他に胃・大腸内視鏡検査(場合によってはカプセル型内視鏡)や超音波検査、CTなど)ではどれも異常なしという方はいらっしゃいました。

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このような時、「器質的な異常」はなし、つまり目で確認できる異常はなしと判断し、下される診断は「機能的な異常」つまり、目にはみえない異常で自律神経の異常やストレス性の症状と判断されることが多かったのです。

しかし確かにストレス性の症状というのはあるのですが、全てそれで説明できるわけではありません。

このような症状を呈する人の問診を改めて丁寧にすると、過去に飲んでいた薬、あるいは今内服している薬に共通点があることがわかってきます。(Dysbiosis ①参照)

そうです。もうお分かりですね。中でもその多くは幼少時から多くの抗生剤による治療を受けてきた人たちでした。

Dysbiosisでは、乳酸菌やビフィズス菌などいわゆる良性細菌の減少とクロストリジウムやウェルシュ菌など悪性細菌の増加がを認めますが、さらに菌の種類の多さ、つまり多様性が減少していることがわかっています。

本来、私たちが幼少時に獲得される腸管免疫は3歳までに完成されると言われていますが、この間に多様な細菌に暴露され、これらの細菌を一掃してしまうような抗生剤の使用を極力避けるという努力をしなければ健全な腸内細菌叢が形成されず、Dysbiosisの要因となってしまうのです。

腸内細菌叢の乱れは、腸管粘膜に炎症を起こします。腸管粘膜が炎症を起こせば、免疫応答細胞が反応し炎症性サイトカインを産生します。悪性細菌の産生する毒素は神経毒性を持ち、血流によって運ばれ、興奮や多動などの神経系の症状の原因となる場合があります。

ビタミンB群やビタミンKは腸内細菌によって作られるところが多く、これらの宿主に必要なビタミン類が不足することにつながります。またカンジダ(カビの一種)の異常増殖をきたし、様々な症状の原因となります。

残念ながらこれらの症状は従来の検査では見出すことはできません。

ですからDysbiosisの診断の一歩は、丁寧な問診からということになります。

さらに詳しく調べる場合には、いわゆるバイオロジカル検査に分類される総合便検査や尿中有機酸検査、遅延型食物アレルギーなどの検査を加えることでその病態の輪郭を把握することに役立ちます。(詳細は次回以降)

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