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遺伝子をも凌駕する思考
2016年5月 2日
今日は「思考の力」について考える機会があったのでこれについ書いてみようと思います。
先日、当院に通院される患者さん(Aさん、女性)からうれしいお話をお聞きしました。Aさんは卵巣がんを患い地域の基幹病院を通院中ですが、主にカウンセリング目的で当院にも通院されている方です。
Aさんは卵巣がんの診断を受けた後、当院へカウンセリングに通われる前からご自身でサイモントン療法のDVDをみて、瞑想やイメージ療法を実践されていました。そのAさんが外科的治療を受けるまでの間、当院でもサイモントン療法のトピックに沿ってカウンセリングを行っていました。
そのAさんが先日3か月ぶりに来院され、こう仰いました。
「がんを外科的に切除したんですが、実はがん細胞が全く消えていたんです。」
Aさんのがんはある程度進行しており、少しでも縮小させる目的で術前に化学療法を行いました。その後がんを切除する目的で手術を行いましたが、取った組織の中からはがん細胞は消えていたそうです。進行度から考えて、完全に消えることはないと考えていた主治医たちは、とても驚いたそうです。
皆さんはエピジェネティクスという言葉をご存知でしょうか。エピは「超える」ジェネティクスは「遺伝」です。つまり、「遺伝子を超えるコントロール」という意味になります。
ワトソンとクリックが二重らせん構造を持つDNAを発見してから、医学はこれらの持つ絶大な力に魅了されてきました。特定の遺伝子を見つけることで、特定の病気の発症など、その個体の運命が予測できるというのです。「遺伝子こそが、その生物をコントロールしている」という考え方が支配的な時代が医学の世界では長く続きました。そして今でも一部の分野では根強く残っています。
最近では某有名ハリウッド女優が、乳がんの発症の可能性が高い遺伝子を持っていることを知り、健全な乳房を切除したことが話題になりました。きっと乳がんが発症した自分の姿を繰り返し頭の中でイメージし、その姿に耐えることができなかったのでしょう。
しかし、比較的新しい分野であるエピジェネティクスでは、「環境が遺伝子のふるまいをコントロールする」ということが明らかになってきました。つまり遺伝子はあくまでも青写真であり、実際にその通りの建物が建つかどうかは、大工さんの腕と意思次第ということなのです。遺伝子がすべてをコントロールするのではありません。ただのポテンシャルに過ぎません。遺伝子の発現においては何より、その遺伝子の置かれた「環境」が大きく左右するのです。食事や生活習慣、そして「思考」も環境因子に含まれます。つまりあなたの「想い」や「意思」という環境が遺伝子発現に大きく影響を与えることが分かってきました。
Aさんは、化学療法を受ける間も、自分の身体が本来の働きを取り戻し、治療が効果的に効いているイメージを繰り返しされていたそうです。そして何より、家族との時間をもっと大切にするため、「治りたい」という気持ちを抱き続けていました。
今、もしあなたが病を患っているならば、思い出していただきたいのです。
遺伝子をも凌駕するあなたの想いは、病の経過に大きく影響を及ぼすのです。あなたの「治りたい」という希望が遺伝子の発現をコントロールし、「良い」経過を生むのです。
サイモントン博士は生前、繰り返し仰っていました。「あなたの信念が病の経過を変える。」
やっと科学がそれを実証する面白い時代が来たようです。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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