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自閉症と腸内環境
2018年11月26日
3連休は皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。
私は24日は仕事があったのですが、その後久しぶりにデパートへ買い物に行って次男の誕生日プレゼントを買いました。
その次男も中学生になり、学校ではじっと座って授業も聞いているようですが、かつて保育園に通っていた頃、彼は落ち着きがなく、集団での本の読み聞かせの時もうろうろして先生を困らせていた一人です。
次の行動への切り替えが悪かったり、会話の途中に割り込んで来たり、忘れ物が多かったり、給食の食べ方が汚かったり、、、、とにかく手がかかる子供でした。
言葉も遅く、先生からは「発達診断」を受けるよう勧められました。
しかし、もともと発達の凸凹が目立つことは夫婦の間でも理解していましたし、彼なりのペースで成長していることも知っていましたので、公的な機関では発達診断を受けませんでした。
というのも家内は臨床心理士として発達支援の仕事もしていましたので、子供がADHDの傾向があるのはよくわかっていました。平均的な成長からすると体も小さく、発達のペースも少し遅れていました。
結局私たち夫婦は別の保育園に変わることを選択しましたが、彼にとってこれは正解でした。
新しい園は自由な教育方針で少人数制でしたし、息子も今までのように注意されることも少なくなり、生き生きと園での生活を楽しんでいました。
ちょうどその頃から私が分子栄養学に関心を持ち始め、ADHDや自閉症にも分子栄養学的なアプローチができるということを知りました。
医学部では栄養学を時間を割いて学ぶ機会はほとんどなく、分子栄養学のアプローチは非常に新鮮でした。
分子栄養学で学んだところによると、遺伝的な背景に食事などの環境因子が加わり発達障害が発症するとのこと。早速息子の栄養状態などを調べてみました。
それまで糖質の多い食事を摂っていたということもあり、カンジダの問題と神経伝達物質のバランスの悪さがありました。
まずは小麦などの精製された糖質を減らしながら、蛋白の摂取を意識するようにしました。また少し便秘傾向だった便通を毎日あるようにコントロールをしました。
そして様々なサプリメントも試行錯誤しながら飲ませるようにしましたが、少し大きめのカプセルになるとなかなか飲んでくれなかったりと一筋縄では行きません。
時には余計落ち着きがないようになる時もありましたが、最終的にいくつかのサプリメントに落ち着き、小学校高学年になった時は比較的落ち着いて授業も聞いていられるようになってきました。
受験もなんとか乗り越え、まだサプリは飲んでいますがひと段落といったところです。
(イメージです。息子ではありません)
このような経験もあったことから、分子栄養学的なアプローチから発達障害や自閉症のお子さんの支援が少しでもできれば考えるようになりました。
栄養療法に興味を持ってくださる親御さんに連れられて、これまでにも多くのお子さんがいらしてくださいました。
残念ながら全ての皆さんが思い通りの変化を起こされたということはありませんが、中には自閉傾向が強く親御さんとのコミュニケーションが上手くできなかった5歳の男の子が、お通じが順調に出るようになるとほぼ同時に視線があったり、コミュニケーション能力が向上するような例や、衝動性が強くお友達や弟にすぐに手が出てしまう4歳のお子さんが、サプリメントや食事療法で衝動性が減り、保育園の先生からの問題行動の指摘がほぼ無くなったりと嬉しい変化を起こしてくれる例がみられるようになってきました。
多くのお子さんに共通することとして、初診の時になんらかの便通異常を抱えていらっしゃるケースが多く、やはり腸内環境と神経伝達物質の関連は無視することはできません。
特に尿中有機酸検査では、自閉傾向のあるお子さんではアラビノースと呼ばれるカンジダの代謝産物が有意に高い傾向があります。こういったお子さんは甘いお菓子や小麦の摂取が多い傾向にあり、まずは食事の見直しからの指導が重要です。
先日の研究会では腸内フローラ移植の九州での連携施設からの報告で、7歳の自閉症のお子さんのケースで、腸内フローラ移植をしてコミュニケーション能力がみるみる改善し、親御さんが大変喜ばれたという話をきき、改めて腸内環境の重要性を改めて認識しました。
健全な腸内フローラは腸内での酪酸をはじめとする有機酸の働きをよくし、またドーパミンやノルエピネフリン、セロトニンと言った神経伝達物質のバランスの偏りをただし、興奮を抑えたり、逆にやる気を促したりとまさに腸は健康の要なのです。
腸を整えるには食事を見直すことなしには考えられません。
気になれば、まずはご家族そろって小麦などの精製された糖質の摂取を控えたり、神経伝達物質の材料となるタンパク質を効果的に摂取したり、またミトコンドリアの働きをよくするために、ビタミンB群やミネラルの摂取を意識したりしてみましょう。
最終的には個別のケースで指導が必要ですが、「まごわやさしい」はとても理にかなった食事法かと思います。
気になる症状があれば一度ご相談ください。 Dr.城谷昌彦
20年以上消化器内科医として臨床をやってきたことで、非常に多くの患者さんから学びと気づきを得る事ができました。 その経験に加えて、何より自分自身が大病を患った経験を通して、一人の患者として「自分が受けたい医療」という視点を大切にしたいと考えて、日々の気づきをつらつらと芦屋から配信していきます。
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